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2015年。東日本大震災から4年経過した後も、福島県双葉町の人々は散り散りに避難先での生活を送り、先祖代々守り続けていた伝統「盆唄」存続の危機にひそかに胸を痛めていた。そんな中、100年以上前に福島からハワイに移住した人々が伝えた盆踊りがフクシマオンドとなって、今も日系人に愛され熱狂的に踊られていることを知る。町一番の唄い手、太鼓の名手ら双葉町のメンバーは、ハワイ・マウイ島へと向かう。自分たちの伝統を絶やすことなく後世に伝えられるのではという、新たな希望と共に奮闘が始まった――。 映画は福島、ハワイ、そして富山へと舞台を移し、やがて故郷と共にあった盆唄が、故郷を離れて生きる人々のルーツを明らかにしていく。盆踊りとは、移民とは。そして唄とは何かを見つめ、暗闇の向こうにともるやぐらの灯りが、未来を照らす200年を超える物語。
『ナビィの恋』、『ホテル・ハイビスカス』の中江裕司監督による本作は、双葉町の豊かな伝統芸能とハワイのボンダンスにまつわる唄や音楽、その背景が鮮やかに映し出され、観る者の心を躍らせる。そして、長期取材だからこそ映し出すことができた魅力あふれる愛おしい人々。腰を据えた撮影に加え、史実に基づくアニメーションでは、余貴美子、柄本明、村上淳、和田聰宏ら豪華俳優陣が声の出演として参加。さらにゼンマイ回転式パノラマ写真撮影や、ハワイの日系文化の歴史をミュージカルのように音楽で辿るなど、ドキュメンタリーの枠を超えたダイナミックな演出により監督の手腕が余すことなく発揮されている。唄い踊り太鼓の響きに包まれる歓喜と恍惚の、時空を超えるラストは必見だ。
1960年11月16日生まれ。 京都市に生まれ、その後沖縄に移住。92年、オムニバス映画『パイナップル・ツアーズ』の1編を監督。同作品はベルリン映画祭フォーラム部門に選ばれた。99年には単独の長編映画『ナビィの恋』を監督。 同作品もベルリン映画祭フォーラム部門に選ばれ、興行面でも成功を収めた。その後も劇映画とドキュメンタリーを交互に発表し、現在までに9本の映画を監督。『ホテル・ハイビスカス』(02)はベルリン 映画祭キンダー部門に選ばれた。その他の作品に『白百合クラブ東京へ行く』(03)、『恋しくて』(07)、『真夏の夜の夢』(09)等がある。また05年には、那覇市内の閉館になった映画館を「桜坂劇場」として 復活させ、映画上映のみならず、ワークショップやライブ、市民講座も企画。沖縄文化の発信地となっている。
〈フィルモグラフィー〉
『パイナップル・ツアーズ』(92/オムニバスの1編を監督)
『パイパティローマ』(94)
『ナビィの恋』(99)
『ホテル・ハイビスカス』(02)
『白百合クラブ東京へ行く』(03/ドキュメンタリー)
『恋しくて』(07)
『40歳問題』(08/ドキュメンタリー)
『真夏の夜の夢』(09)
『たしかなあしぶみ なかむらはるじ』(12/ドキュメンタリードラマ)
つらい撮影だとわかっていた。どうしたって、つらい現実は映る。それでよしとしない。観客につらさを強いるわけにはいかない。つらさは現実。あたりまえとして進む。
双葉の横山さんは、ハワイで双葉盆唄を伝える若いメンバーに「私たちの双葉町は地震、津波、原子力発電所の事故で、人が帰れない帰還困難地区になっています。私たちが生きている間に帰れるかはわかりません。子や孫の代になって双葉が復活したときには、これが本物の双葉盆唄なんだと教えて欲しい」と語った。なおも横山さんは車中で「双葉が故郷というのは大人のエゴ。子どもたちにとっては避難先が故郷」とも。双葉はいつか復活する。しかし、それを子どもたちに強いるわけにはいかない。この覚悟に寄り添って映画を作ることを決意した。
故郷を離れるとき、人は唄をたずさえてゆく。唄は新たな土地で根付き花ひらく。福島からハワイへ、北陸から双葉へ。二百年という長い時間の中で希望がみえてくる。唄をたずさえて、希望のかなたへ。皆さん、いっしょに双葉盆唄を踊りましょう。
写真家。東京都出身。1991年単身渡米、ペトロリアハイスクールに留学。オフグリッド、自給自足の暮らしの中で学ぶ。帰国後、アシスタントを経て96年に独立。雑誌媒体、音楽関連等 の仕事をしながら、フィリピンのモンテンルパ刑務所(10)、ロシアのニクーリンサーカス(11)、台湾の三峡台北榮民之家 (12)など、世界の特殊なコミュニティでの取材に取り組む。 06年以降、ハワイにおける日系文化に注視し、13年より福島 県三春町にも拠点を構え、移民を通じたハワイと福島の関連 をテーマに制作を続ける。18年、初の作品集「KIPUKA」(青幻舎)を上梓。
共同編集の菊池智美は元アシスタント。『スウィングガールズ』(04/矢口史靖監督)、『ALWAYS 三丁目の夕日』(05/山崎貴監督) で、日本アカデミー賞最優秀編集賞2年連続受賞に続き、『永遠の0』(13/山崎貴監督)で3度目の同賞最優秀編集賞を受賞。 そのほか、『永い言い訳』(16/西川美和監督)、『サバイバルフ ァミリー』(17/矢口史靖監督)、『コーヒーが冷めないうちに』 (18 /塚原あゆ子監督)等多数。中江監督作品『ナビィの恋』(99)、『ホテル・ハイビスカス』(02)、『白百合クラブ東京へ行く』(03)等の編集も担当。19年公開待機作として『初恋〜お父さん、チビがいなくなりました』(小林聖太郎監督)『ダンスウィズミー』(矢口史靖監督)、『アルキメデスの大戦』(山崎貴監督)がある。
共同編集の宮島竜治の元でアシスタントをしたのち、独立。主な映画作品に『バッド・オンリー・ラヴ』(16/佐野和宏監督)、『心に吹く風』(17/ユン・ソクホ監督)、『散り椿』(18/木村大作監督)、『夜明け』(19/広瀬奈々子監督)等。TVドラマ「プリティが多すぎる」(NTV)、「昭和元禄落語心中」(NHK)等も手掛ける。
筑波大学人間学類心理学専攻卒業後、作曲家・三枝成彰のプロジェクトへの参加を経て、映画・ドラマ・CM音楽を中心に活 動を開始。主な映画作品に、『そこのみにて光輝く』(14/呉美保監督)、『オーバー・フェンス』(16/山下敦弘監督)、『幼な子われらに生まれ』(17/三島有紀子監督)等。
音楽大学で作曲を専攻したのち、三枝成彰事務所にて音楽制作にたずさわり、その後独立。『あ、春』(98/相米慎二監督)、『おくりびと』(08/滝田洋二郎監督)、『空気人形』(09/是枝裕和監督)、『岸辺の旅』(15/黒沢清監督)等、音楽プロデューサーとして様々な映画音楽を手掛ける。ほかにも、オーケストラの コンサートやオペラの制作にも参加している。
2011年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業、13年同学大学院 映像研究科アニメーション専攻修了。作品は広島国際アニメーションフェスティバルほか、国内外で上映。TVアニメ「ポプテピピック」、中島哲也監督映画『渇き。』(14)等に参加。アニメーションと音楽の関係性をデザインしている。
想像を超えるスケールで盆唄をめぐり
紡がれる物語。古里の夏を懐かしく思い出し、
先祖の歩んだ人生に思いを馳せる。
福島県人を描いた傑作だ・・・
おもしろかった・・・・・・・
西田敏行さん
俳優
笛や太鼓で血潮が騒ぐ
これは一体何なんだ
福島の地で生き抜いて
時空を超えてマウイ島
ご先祖様も皆々様も
踊って笑って ソレ盆踊り
久米宏さん
不運にも住むところを追われた人々の物語。
散り散りになった彼らを
故郷の盆踊りが改めて繋ぐ。
数年に亘る取材を積み上げて、
回復は可能だという大事なことを静かに伝える。
池澤夏樹さん
作家
まだずっと私の耳に、胸に、盆唄が鳴り響いています。
故郷を想った。生きるということを考えた。
何かがこみ上げてきて、ぐっと熱くなった。
あがった。元気が出てきた。
西田尚美さん
女優
盆踊りは楽しい。稲の花や稲穂が美しい。
静かに波打つ浜が美しい。
人のいない町は悲しい。
望郷の心は消えない。ハワイにいても。
坂田明さん
ミュージシャン
盆唄は故郷の声そのものだ。
その土地に生きた人々の汗、
降り注いだ雨風の匂い、祈りの光景が見えてくる。
ラストの神々しさには自然と涙が流れていた。
赤江珠緒さん
フリーアナウンサー
帰還困難区域の歴史と未来が、
再生した櫓の上から見据えられる。
移民の如き生活の中で想われる故郷は、
忘れがたい唄とリズムの中にあった。
玄侑宗久さん
作家
21世紀にやってきた音楽映画の新しい地平。
「傑作」と言うしか表現できない。
素晴らしい音楽の数々と登場する人たちの笑顔にただひたすら泣いた。
佐々木俊尚さん
作家・ジャーナリスト
昔、私はハワイのボンダンスでたまたま体験できた福島音頭に
"何故か"魂を鷲掴みにされた事があります。
この映画はその"何故か"をハッキリとアツイ涙と共に教えてくれました。
有難う!素晴らしいです!
Sandiiさん
ミュージシャン/ウニキ・クムフラ
日本の祭はつねに、死者とともにあった。
この映画の“移民”たちの旅路は、
日本の祭の唄と踊りの、
本来の意味を思い出させてくれる。
畑中章宏さん
民俗学者
福島第一原発の被害者は生活の場所も郷土の文化も失いました。
その文化を取り戻すための道を描いた一種のロード・ムーヴィーと言えるこの映画から、
民謡が持つ普遍性が深く響きます。
ピーター・バラカンさん
ブロードキャスター
地震、津波、原発事故により、帰還困難区域に指定された双葉町。
そこに伝わる盆唄を晴れの櫓で披露出来ぬ唄い手と太鼓打ちの苦悩。
河内音頭と云う盆踊り唄を生業とする私は冒頭から涙が溢れました。
いつの日か、双葉町を離れざるを得なくなった人達、
各地各所に伝承された双葉盆唄を唄い継ぐ人達が一同に会して
里帰りの盆踊りが出来る事を切に願う次第です。
河内家菊水丸さん
伝統河内音頭継承者
大感動!
ラスト20分のやぐらの共演が、
映画『ボヘミアン・ラプソディ』のライヴ・エイドの白熱シーンを超えていると薦めたい!!
50代・男性
盆踊りの唄、踊り、笛の音に心が鷲掴みになり、
奥底から揺さぶられ 涙が止まりませんでした。
30代・女性
人の心を描いた作品!
ドキュメンタリーの新しい形を浮かび上がらせてくれたと思います。望郷の心が胸に響きました。
50代・女性
泣けました。この映画は、すごく気持ちをほぐしてくれる作品だと思います。
胸がいっぱいです。
20代・女性
日本国内の移民と、避難民のフォーカスの当て方が素晴らしく、目からウロコが落ちました!
流されて辿り着く、運命のようなものを感じてドラマティックな感動を覚えました。
50代・男性
福島も日本の現実、ハワイの日系移民も日本の現実。
さまざまな現実を、私は全然知らなかったということに気づけたことが良かった。
日本人なら観るべき!
50代・女性
中江裕司監督の情熱の賜物!大勢の人に薦めたい一本です。
60代・男性
写真:岩根愛