アボルファズル・ジャリリ
インタビュー

  1. 『ダンス・オブ・ダスト』について
  2. 『キシュ島の物語』について
  3. ジャリリ語録

○ キシュ島はどんな所なのでしょうか。

 キシュ島は冬は過ごし易い良い所ですが、夏は暑すぎてハイになってしまいますよ。


○ どのようにあのストーリーを思い付いたのでしょうか。

 テヘランに住んでいる女の子が、キシュ島に行きたがる話にするつもりでしたが、撮影をキシュ島で行うのが条件で、テヘランを舞台に撮るのは駄目でした。何も浮かばないままにキシュ島に来て、ストーリーが浮かんでから撮影まで20分で入りました。かと言って、 突然ストーリーが、浮かぶのではありません。普段からよく人を見たり、人からその人のことを聞いたりして、その人のストーリーを作っているのです。そして、そのうち、誰かに会ったときに「この人にあのストーリーが合うのではないか」と思うとそれを使ったりしています。前から、海辺に独りで住んでいる男というのはどんな感じだろうとすごく思っていました。キシュ島に到着して車を持っている友人とキシュ島の海辺に沿って走っていたら、小屋があったので車を停めました。その小屋の横に若い男が居て、一人で海を眺めていたので、以前、創造していた、一人で海辺に住んでいる男の話を思い出したのです。『指輪』は、魚を売ったり、貝殻を売ったり、いろんな物を売っている、不思議な生活のお話です。海水をタンクに入れて、建設現場の車が来たら、給水するのが仕事です。主演の男性は20歳で、キシュの工場で働いていました。短い期間でしたが、彼とも生活を共にしました。青年が獲っている魚は地元でよく獲れる魚です。


○ 『キシュ島の物語』を作った経緯は?

 キシュ島は産業・経済は盛り上がっていますが、文化がないので、観光局は文化事業をイベントとしてしたかったのだと思います。企画が来たときに、初めは面倒な制約があるだろうと思って、断ろうかと思ったのですが、実際はとても自由でした。また、これはイランで公開されるので、今後、自分の作品の公開のきっかけになるのではないかと思いました。


○ タグヴァイとの競作はどうでしたか?

 私はタグヴァイの作品を前から見ていましたし、偉大な監督だと思っています。以前からの知り合いで、仲も良いのです。タグヴァイは革命前、非常に有名な監督でした。一緒に製作できて嬉しいということよりも、彼に関しては、頭も良くて優しくて知識人として非常に尊敬しています。他の監督とはあまり交流はありませんが、彼とは月に一度くらい電話などをして、様子を聞いています。


○『指輪』を一言で言うと?

 新しい不思議な愛の物語。