【スタッフ】
監督・脚本・美術・・・・・・・・アボルファズル・ジャリリ Abolfazl Jalili
撮影・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アタ・ハヤティ Ata Hayati
美術・・・・・・・・・モハマッド・タギ・ジャリリ Mohammad Taghi Jalili
編集・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・レザ・ホズイ Reza Khozui
録音・・・・・・・・・・・・・・フェレイドゥン・ボルハニ Freydun Borhani
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アリ・サレヒ Ali Salehi
製作担当・・・・・・・・・・・・・・・・アハマッド・ルスタ Ahmad Rusta
【キャスト】
メヒディ・アサディ Mehdi Asadi
アスガル・ゴルモハマッデ Asghar Golmohammadi
ホセイン・マルミ Hossein Malumi
モフセン・パナヒ Mohsen Panahi
ホセイン・パナヒ Hossein Panahi
ファテメ・ナギャビ Fatemeh Naghavi
1987年/イラン映画/カラー/35mm/87分/スタンダード
日本語字幕：太田直子
字幕監修：ショーレ・ゴルパリアン
提供：アボルファズル・ジャリリの会
配給：ビターズ・エンド
◇文盲の少年ハメッドは、反政府的な内容のチラシを配ったとして逮捕され少年院に送られる。そこには、室長と呼ばれる少年をはじめ彼の腰巾着、お調子者、身体の不自由な者など色々な子供たちが収容されている。日夜、看守の監視のもとに訓練、食事、作業、読み書きの授業が行われる。最初は戸惑いを見せていたハメッドも、そんな共同生活の中で次第に他の少年たちに友情を覚え、自由を求めて走る自分の姿を夢想しながらも、そこでの自分の居場所を見つけていくのであった。
◇本作でジャリリは、少年たちが犯した犯罪に言及するのではなく、彼らが限られた空間の中で人間関係をどのように築いていくかということに焦点をあてる。彼らが日夜繰り広げるユーモアに満ちた遊びやいたずら、取っ組み合いの大喧嘩、シャワーやプールに我さきにと走っていく姿、看守がいないところで見せる歌や踊りなど、彼らの日々の生活からジャリリは子供の持つあどけなさ、純粋さをすくいとっていく。ここで見受けられるのは喜怒哀楽に満ちた赤裸々な少年たちの姿である。
◇"ドキュ・ドラマ"スタイルと称されるジャリリの手法らしく、実際に少年院に収容されている少年たちが出演者となり、彼の他数人のプロの役者やクルーたちは少年院に収容者として暮らすことになった。彼は様々なところから許可を得、子供たちといい関係を作るため、準備期間に6ヶ月を要し撮影にこぎつけた。最初は機材を盗んだりスタッフのポケットをあさったりしていた少年たちも次第に打ち解け、映画作りに協力するようになった。こうして完成した本作はドキュメンタリー・フィルムを見るかのように少年院の雰囲気を余す所なく伝えている。