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プロダクションノート  
〜すべてはその森から始まった 03・春〜

「自殺をしてはいけない」そういう映画を作ろうと思った。知人の自殺の報がショックだったからだ。そんな極めて個人的な思いからこの企画は始まった。まだ助監督だった瀧本智行君とシナリオ作りを始めた。しかし、すぐに壁にぶち当たった。このあまりに重く真っ当なテーマに難渋した。自殺に到る動機は極めて個人的で、社会情勢をも内包する複雑な問題である。果たして自殺することは本当にいけないのか? 自らの死によってしか解決出来ない悩みもあるのではないか? 一本の映画が語る真っ当な物語がどこまで届くのだろうか? 否、その物語を僕たちは作り出すことが出来るのかどうか?

行き詰まった僕たちは樹海に行った。日本で一番有名な自殺の名所、暗くて怖い森……。しかし、その森は噂とは違っていた。富士山が育んだ美しく豊かな森は生命力に溢れていた。僕たちは何時間も森の中を彷徨った。そして或ることを思った。この森は「生きろ」と言っているのではないか? 何かが見えてきた気がした――。

結局、「自殺して欲しくない」という僕たちの今の気持ちをこの森を舞台に描くことにした。この森から生きる為に出て来る人々の話、主人公は樹海そのもの、自殺の動機や社会が抱える要因は描かない、物語はオムニバスだが何かがゆっくりとクロスしていたい――。こうして、『樹の海』と題するシナリオの第一稿が出来上がった。


〜森で始まり、森で終る 04・春〜

撮影のほとんどは樹海の中で行われた。かつて製作された映画の中には、富士の樹海という設定ながらも他の森でロケしている作品も多々ある。独特の景観は魅力だが、足場が悪く非効率であることやイメージ的なことから敬遠されるのだろう。また、自然保護の為に車輌の立ち入りは厳禁、イントレ(俯瞰台)やクレーンなどの特殊機材の使用も不可という厳しい条件も課せられている。

幾度にも及ぶロケハンにより、広大な樹海の中から監督の望む景観を探し出した。スタッフ総出で足場の悪い樹海の中を人海戦術で機材を運搬、イントレの代りに脚立を使うという原始的なスタイルで撮影を進めた。シンプルな撮影スタイルが逆に、監督が目指したオーソドックスな演出や画作りの為に幸いすることとなった。

富士山の影響の為に気象状況の変化が激しく、天気待ちで何度も撮影は中断した。光の繋がり上、取り直しとなることも間々あり、俳優たちも演技のテンションを持続することに苦労を強いられた。

様々な苦労をした樹海ロケだが大きな事故もなく、ましてや定番の「何か」が映っているということもなく、日程をオーバーしながらも無事に終了した。こうして、ひとりの新人監督が誕生したのだった。

〜再び、森へ 04・初冬〜

半年後、ポスター用写真を撮りに森を訪れた。当然ながら撮影の痕跡はどこにもない。何も変らず、森はそこにあった。あれから何人の人間がこの森を訪れたのだろうか? その多くの人は森から帰って行ったと信じている。
梢が鳴った。――森は今日も「生きろ」と言っている。

 
絶賛上映中
(c)「樹の海」製作委員会