PEOPLE PROFILE
FILMOGRAPHY
青 山 真 治 (あおやま・しんじ)
監督近影1964年・福岡県北九州市生まれ。
高校時代はロックバンド"UP BEAT UNDERGROUND"を結成し、音楽に明け暮れる。立教大学入学後、8ミリ映画を撮り始める。在学中に現東京大学総長の蓮實重彦氏の映画表現論講義に大きな影響を受ける。卒業後、万田邦敏(『宇宙貨物船レムナント6』監督)の紹介で美術助手として映画界に入り、その後はフリーの助監督として、黒沢清『地獄の警備員』(92)、フレドリック・フリドリクソン『コールド・フィーバー』(95)、ダニエル・シュミット『書かれた顔』(96)などに参加。その一方で、雑誌に映画評論を執筆するなど、活躍の場を広げる。95年Vシネマ「教科書にない!」で監督デビューした後、96年浅野忠信主演『Helpless』で劇場映画デビュー。この衝撃的な作品はトロント、トリノを初めとし、多数の海外映画祭に出品され、青山真治の名前を世界に知らしめた。以後『チンピラ』(96)、『WiLd LIFe』(97)、『冷たい血』(97)、そして『シェイディー・グローヴ』(99)とハイペースで作品を発表。『WiLd LIFe』と『冷たい血』はそれぞれバイオレンス色が強いながらも、前者は社会を飛び出た男のやぶれかぶれなプロポーズを、後者は結婚制度によって壊された愛が、それを越えていく様を描いている。青山真治はこれらと『シェイディー・グローヴ』を、"結婚をめぐる三部作"と括っているが、決して"結婚"="幸福"というファンタジーを描こうとしているのではない。むしろ、制度的な「結婚」と制度的ならざる「結婚」の葛藤を検証し、そこから愛とは何か、制度にいかに対するかといった普遍的な問いを今日において再考しようとする思考そのものをテーマとしている。また、インディーズ・レーベルの先駆者であるアーティスト、クリス・カトラーを追った『カオスの縁』は、初のドキュメンタリー作品となる。