驚異の新鋭
ブリュノ・デュモンの衝撃

◆監督のブリュノ・デュモンは1958年、北フランスの町バイユールに生まれる。哲学教師、ジャーナリスト、そして産業映画で10年間の製作と監督の経験を経て、『ジーザスの日々』で長編デビューを果 たす。無軌道な少年の鬱屈した日々と、一瞬にして芽生える狂気を描いたこの作品は、独創性と斬新さでカンヌ国際映画祭でいきなりカメラドール特別 賞ほか多数を受賞。続く第2作、少女の殺人事件を捜査する警部補の姿を描いた『ユマニテ』は、さらなるスケール感を供え、並みいる強豪を蹴落として、同じくカンヌで審査員グランプリ、主演男優賞、主演女優賞の三冠を獲得する。その上映では、怒りをあらわにし、席を立つ者もいたというほど、強烈な賛否両論で一大センセーションを巻き起こした。

デュモンは2作でともに、生まれ故郷の町を舞台に、全くの素人を起用。彼らの特徴を最大限に引き出して映画に反映させ、登場人物たちに、とてつもない魅力と深さを与えることに成功している。あらゆる既成概念を打ち壊し、通 常の映画にはない特異さによって観る者を圧倒し、挑発するデュモン作品。その衝撃が、いよいよ日本でも明らかになる。