三宅唱監督『旅と日々』

コメント
コメント
監督
三宅 唱
つげ義春さん、つげ正助さんに心より感謝申しあげます。
ここ数年、家でも旅先でもマンガや紀行文をくりかえし読んできました。
畏怖すら覚えるほど面白く、逃げ出したくなる日もありましたが、
編集中のいま、とことん新しい映画が生まれそうだという感触があります。
シム・ウンギョンさん、堤真一さん、各部署の仕事は驚くほど純度の高いものです。
ぜひ大きなスクリーンで堪能していただきたい。
ぞわぞわしながらお待ちください。
コメント
シム・ウンギョン
本作の出演について
三宅唱監督とご一緒できたらいいなとずっと思っていました。
でも、まさかこんな早くチャンスが来るとは思わなかったので、
最初はお話を聞いて、嘘でしょう?と言った記憶があります。
ここ数年間で読んだ台本の中で最も好きな物語の台本でした。
演じた李について
本作は自分の自然体そのままで入ることが大事だと思い、
旅に来て自分自身が感じていることを表現しました。
悩んだときは監督に相談して、
一緒に作り上げていく作業がすごく楽しかったです。
三宅唱監督との仕事について
すごくパワフルで、とても素晴らしい監督だなと思いました。
この現場で、今まで経験できなかったことを新たに経験できて、
お芝居に関しても、映画に関しても学びましたし、
響いたことがたくさんあります。
堤さんについて
堤さんからインスパイアをたくさんいただきました。
すごく会話があるわけじゃないですが、
何かつながっているような気持ちもあって、
こういうことを絆っていうんだろうなと思いました。
まさに「旅と日々」という映画は
そんな「絆」に関しての映画であるということを実感した日々でした。
どのような作品になりそうか
李という役は、私でもあり、そして皆さんでもある。
皆さんが映画を見て、李とともに映画館で旅をすることができたら、
それは何より嬉しいですね。
完成をとても楽しみにしています。
つげ義春さん原作について
つげ義春さんの漫画を読むと、物語は静かに進み、
何事も起こってないようなのに、大きく響いてくるものがある。
そういうつげさんの漫画の力をたくさんいただいて、
李という役を頑張ろうと決めました。
コメント
堤 真一
本作の出演について
つげ義春さんの独特の世界観で、特別なことは何も起きないけれど、
ちょっとしたことが「それも人生」と思える作品だと思いました。
脚本を読んで「ぜひやらせていただきたいです」と即答しました。
演じたべん造役について
とにかく言葉が難しかったので、
撮影に入る前から何度も方言指導のテープを聞いていました。
普段はここまで全部覚えることはないのですが、
今回は、初めてと言っていいほど、
しっかりと叩き込んでから撮影に入りました。
また、セットや衣装もとても助けになりました。
三宅唱監督との仕事について
三宅監督の演出は無駄がなくて、とてもシンプルです。
かといって決め付けるのではなく、現場で一度芝居を見て、動きも見る。
「不思議な世界」だけど「非現実的」ではない、
とても現実的な表現でこの作品を捉えられている気がします。
「こんなことは初めてなんですけど」と監督はおっしゃっていましたが、
一度リテイクしたシーンがあるのですが、
それでかなりそぎ落とされたんです。
リテイクって面倒な作業ですが、
監督の機転の利かせ方や流れの変え方を見ることができて、
すごく面白かったです。
共演したシム・ウンギョンさんについて
日本語ができる韓国人の役ですから、
彼女らしさが存分に出ているのではないかと思いました。
撮影の間も、いつも楽しそうで、
明るい方ですね。
どのような作品になりそうか
特別なことは何も起きない、その土地で生きる人、
不器用に生きる人の物語です。
高級店ではなくて、おじいちゃんとおばあちゃんがやっている
町中華のほうが安心するような感覚。
妙に落ち着けて、クスっと笑えるような、
そういう作品になると思います。
コメント
河合優実
本作の出演について
『きみの鳥はうたえる』が大好きで、
いつか三宅監督とご一緒したいと思い続けていたので、
すごく嬉しかったです。
脚本を読んで
ふたつの原作を、夏と冬でメタ的に構成しなおすことに驚きがあり、
とても面白いと思いました。
また、三宅監督が何か新しいことに挑戦している印象があったので、
一緒に映画を作ることが楽しみな脚本だと思いました。
三宅唱監督との仕事について
最初に、「監督と演者というより、
一緒に作っていく人として接します」と言ってくださったのですが、
それがすごく嬉しかったです。
三宅さんは気さくで話しやすい方ですが、
環境づくりはとにかく丁寧で、素晴らしい現場でした。
完成した映画を観て
傑作だ、と思いました。
ほんのささやかな物語の中に、無数の感慨があります。
全てのカットが、本当に美しいものを撮っている、
または、本当に畏れながら撮っている、という感じがして、
そういう意味での嘘のなさに、感動しました。
皆さんの素晴らしい仕事の結集だと思います。
自分がこの映画の中に残っていることが嬉しいです。
コメント
髙田万作
本作の出演について
オーディションの話を頂いた時から、
三宅唱監督作品という事もあり「絶対にやりたい」と思っていましたし、
自分にとって必ず転機になる作品だと確信していました。
合格の連絡をもらった時は、プレッシャーもありましたが、
それ以上に早く現場に入りたい気持ちが強かったです。
脚本を読んで
原作の、「海辺の叙景」の少し怖くて、
でも目を離せないあの感覚が、脚本に上手く落とし込まれているなと思いました。
読みながら、この先2人はどんな結末を迎えてしまうんだろうと、
少しゾワゾワした気分になりました。
三宅唱監督との仕事について
監督自身が、現場をすごく楽しまれてるなと思いました。
いつも笑顔で、スタッフの方と楽しそうに試行錯誤されてる姿が、
すごく印象的でした。
演技指導に関しても、監督の言葉ひとつひとつが信頼に満ちていて、
難しい演技にも安心して挑戦することができました。
完成した映画を観て
ただそこに立って、風を受けながら、場所に身を委ねる。
旅なんてそれだけで十分だと思える映画でした。
言葉に囚われていた主人公が、
この旅を通して少しずつほどけていく様な感覚が、
皆さんにも伝わればいいなと思います。
素敵な作品に関わることが出来て光栄でした。