12歳の少年サムエレは、友だちと手作りのパチンコで遊び、島の人々はどこにでもある毎日を生きている。しかし、この島には彼が知らないもうひとつの顔がある。アフリカや中東から命がけで地中海を渡り、ヨーロッパを目指す多くの難民・移民の玄関口なのだ。島の人口約5500人に対して、今は年間5万人を超える難民・移民がランペドゥーサ島へやってきている。島には巨大な無線施設が建ち、港には数多くの救助艇が停泊している。ひとたび難民たちが乗った船から救難要請の連絡が入ると、無線が飛び交い、ヘリコプターが飛び立つ。夜の海を照らすサーチライトが難民たちを探している。そんな緊迫した様子とは対照的に、島の日常は流れていく。家々のラジオからは音楽が聞こえ、漁師は海へ出かけ、雷の日には老女は家で針に刺しゅう糸をとおす。同じ島にありながら、島の生活と難民たちの悲劇は決して交わることがない。両者を結ぶのは、島でたったひとりの医師のみ。島の人たちを診察する傍ら、島にやってきた多くの難民たちの検診や死にも立ち会う。彼は言う「こうした人々を救うのは、すべての人間の務めだ。」少年サムエレにも変化が起こり、左目の弱視が見つかる。右目を塞いで左目の働きを上げていくために矯正メガネをつけることになる。それはまるで、今まで見えていなかったもうひとつの目で、未知の世界を見るかのように──。
前作『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』で2013年度ヴェネチア国際映画祭金獅子賞〈最グランプリ高賞〉を受賞したジャンフランコ・ロージ監督が、次にカメラを向けたのはひとつの島だった。難民危機の最前線、ランペドゥーサ島。ある国際映画祭で上映する短編を撮影するために島に入ったロージ監督は、ニュースでは描かれない複雑な世界を目の当たりにし、たった数分の映画に収めることは不可能だと悟る。そして、島に暮らすたったひとりの医師から聞いた難民救援の現状や、少年サムエレとの出会いをきっかけに、『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』の制作を決意。島へ移り住み、ランペドゥーサの人々と時を共有しながらゆっくりカメラを回し、島の“真の姿”を描き出した。自然の中で無邪気に遊ぶ少年サムエレの笑顔、過酷な海の旅を経て島にやって来た難民の涙。小さな島の中には死があり、そして、生がある。美しく詩情溢れる映像と共に描かれるそれぞれのストーリーがドラマチックに心を揺さぶる、静かな衝撃作。
本作は、2016年度のベルリン国際映画祭で金熊賞〈最グランプリ高賞〉を獲得。ロージ監督は、二作連続で世界三大映画祭の最高賞を受賞しただけでなく、ベルリン、ヴェネチアと、ドキュメンタリー映画で初の最高賞を受賞するという快挙を成し遂げた。審査員長のメリル・ストリープは「現代を生きる私たちに必要な映画。この映画が世界中で公開されるためならどんなことでもする」と力強く本作を応援している。また、イタリア首相マッテオ・レンツィも、2016年3月に行われた移民政策が議題のEU首脳会談にて、「人々を、数ではなく、ひとりひとりの人間として描いている。この映画を観たら、違った視点での議論ができるはず」と、本作のDVDを27人の全首脳に手渡したという。そして、なんと、法王就任後初の海外司牧行事でランペドゥーサ島を訪れていたフランシス・ローマ法王も本作を絶賛。サムエレ少年、バルトロ医師、ロージ監督をバチカンへ招待した。現在アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされており、世界中の注目を集めている。


地中海のイタリア領最南端の島。シチリア島から南西へ約220km、チュニジアの海岸から東へ113kmに位置。面積は20.2 km²(鹿児島県与論島が20.47 km²)。住民は約5500人。ペラージェ諸島に属する他の島ともども、シチリア州アグリジェント県に属するランペドゥーサ・エ・リノーサという基礎自治体(コムーネ)を構成する。
1860年よりイタリア王国領となっており、その頃は流刑地として使われた。第二次世界大戦中の1943年には、パンテッレリーア島侵攻作戦(コークスクリュー作戦)に付随してイギリス軍によって占領されている。この戦いは、シチリア上陸作戦(ハスキー作戦)の前哨戦であった。1960年代には北大西洋条約機構の基地が設置された。
「船が浮いて見える」ほど、透明度の高いターコイズブルーの美しい海で有名。ベストセラー書籍「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」(2013 /三才ブックス)では、ランペドゥーサ島の光景が「世界1位の絶景」として紹介されている。北アフリカから最も近いヨーロッパの国の領土であるために、アフリカや中東からの移民・難民の目的地となっており、近海ではしばしば海難事故が発生するなど問題となっている。特に、2013年10月3日ランペドゥーサ島沖にて密航船の火災・転覆事故が発生し360人以上が死亡、世界中で報道された。同年7月、フランシスコ・ローマ法王が初の外遊でランペドゥーサ島を訪れ、多数の海難事故の犠牲者を追悼した。イタリア政府はリビア沿岸近くまでをもカバーする「マーレ・ノストルム」作戦を展開し、軍や沿岸警備隊で地中海をパトロールし1年間で15万人の難民を救出するが、予算の問題で作戦の規模は縮小。その後も、ランペドゥーサ島沖での海難事故は尽きない。
第二次世界大戦中、港に停泊していたイタリア軍のマッダレーナ号が連合軍に爆撃され、真っ暗闇の深夜だというのに海が真っ赤に燃え上がり、漁師は夜に漁へ出ることを恐れたという、島民に語りつがれる逸話から生まれた地元の伝統曲で、‟炎の海(Fire at sea)“の意。本作の原題である。劇中、ラジオでリクエスト曲として流れ、サムエレに祖母がしている昔話としても登場。
1964年、エリトリア国アスマラ生まれ。エリトリア独立戦争中、13歳で家族と離れてイタリアへ避難。青年期をローマとイスタンブールで過ごす。イタリアの大学卒業後、1985年、ニューヨークに移住。現在はイタリアならびにアメリカ合衆国民。
ニューヨーク大学フィルム・スクール卒業後、インド全土を旅し、中編「Boatman(原題)」の制作と監督を務めた。この作品は、サンダンス映画祭、ロカルノ国際映画祭、トロント国際映画祭を含む様々な国際映画祭で上映され、成功を収めた。2008年、カリフォルニア州スラブ・シティで撮影された初の長編作「Below Sea Level(原題)」は、ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門ドキュメンタリー賞、そして最も優秀なドキュメンタリーに贈られるDoc/It賞を受賞。同作は2009年のシネマ・ドゥ・リールでグランプリとヤング審査員賞、ワン・ワールド国際人権映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞、バーリ国際映画祭ではヴィットリオ・デ・セータ賞を受賞、ヨーロッパ映画賞で最優秀ドキュメンタリー賞にノミネートされた。2010年、メキシコの麻薬カルテルの殺し屋から、警察協力者となった人物のインタビュー映画「El Sicario, Room164(原題)」を撮影。ヴェネチア国際映画祭で国際批評家連盟賞、Doc/It賞を受賞した。さらに、リスボン国際ドキュメンタリー映画祭、2011年にはテルアビブ国際ドキュメンタリー映画祭でそれぞれ最優秀映画賞を受賞。
2013年、長編映画『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』を製作。ベルナルド・ベルトルッチ監督、坂本龍一ら審査員に絶賛され、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。ドキュメンタリー映画では初の快挙として話題を呼んだ。日本では、ジャンフランコ・ロージ監督初の劇場公開作品となり、連日満席のロングランヒットを収めた。
2016年、『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』では、審査員長のメリル・ストリープが絶賛し、ベルリン国際映画祭にて金熊賞を受賞。ヴェネチアに続き、ドキュメンタリー映画で初の最高賞受賞となった。アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされている。
映画の他に、数々の公共広告も監督し、ニューヨーク大学映画学科、ルガノの南スイス応用科学芸術大学、ならびにジュネーブの造形美術大学の客員講師も務めている。
1993「Boatman(原題)」
❖第10回サンダンス映画祭正式出品
❖第14回ハワイ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞
2001「Afterwords(原題)」(共作)
❖第58回ヴェネチア国際映画祭ニューテリトリー部門正式出品
2008「Below Sea Level(原題)」
❖第65回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門 ドキュメンタリー賞、Doc/It賞
❖第31回シネマ・ドゥ・リール賞 グランプリ、ヤング審査員賞
❖第10回ワン・ワールド国際人権映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞
❖第1回バーリ国際映画祭ヴィットリオ・デ・セータ賞(最優秀ドキュメンタリー賞)
2010「El Sicario, Room 164(原題)」
❖第67回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門、国際批評家連盟賞、Doc/It賞、バイオグラフィルム・ランチア賞
❖第8回リスボン国際ドキュメンタリー映画祭 最優秀映画賞
❖第13回テルアビブ国際ドキュメンタリー映画祭 最優秀映画賞
2013『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』
❖第70回ヴェネチア国際映画祭 金獅子賞、若い批評家賞
❖第10回セビリア・ヨーロッパ映画祭 銀賞
❖第28回チャック・ドーロ 最優秀音響賞
2016『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』
❖ 第89回 アカデミー賞外国語映画賞イタリア代表選出、長編ドキュメンタリー賞ノミネート
❖ 第66回 ベルリン国際映画祭 金熊賞〈グランプリ〉エキュメニカル審査員賞、アムネスティ・インターナショナル賞、ベルリーナー・モルゲンポスト紙読者審査員賞
❖ 第56回 イタリア・ゴールデングローブ賞大賞
❖ 第70回 ナストロ・ダルジェント賞特別ドキュメンタリー賞
❖ 第7回 バーリ国際映画祭編集賞 
❖ 第21回 カプリ・ハリウッド国際映画祭年間最優秀ヨーロッパ映画賞
❖ 第31回 チャック・ドーロ最優秀編集賞
❖ 第10回 シネマ・アイ・オナーズ アンフォゲッタブルズ賞
❖ 第32回 国際ドキュメンタリー協会賞 撮影賞
❖ 第29回 ヨーロッパ映画賞 ドキュメンタリー賞
❖ 第37回ロンドン映画批評家協会賞 ドキュメンタリー賞
❖ 第60回 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞 最優秀映画賞、監督賞、プロデューサー賞、編集賞ノミネート
❖ 第29回 ヨーロッパ映画賞ピープルズ・チョイス賞、ドキュメンタリー賞ノミネート
❖ 第1回 米・放送映画批評家協会ドキュメンタリー賞最優秀ドキュメンタリー映画ノミネート
❖ 第15回 サンフランシスコ映画批評家協会賞ドキュメンタリー賞ノミネート
❖ 第43回 テルユライド映画祭正式出品
❖ 第41回 トロント国際映画祭正式出品
❖ 第54回 ニューヨーク映画祭正式出品
❖ 第64回 サンセバスチャン映画祭正式出品
❖ 第51回 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭正式出品
想像力に富み、現代を生きる私たちに必要な映画。
今すぐ見なくては!
メリル・ストリープ
女優/ベルリン国際映画祭審査員長
やさしい映画だ。
お互いを思いやり、手を差し伸べ合うことが大切。
そう気づかせてくれる。
フランシスコ・ローマ法王
この映画は静かに教えてくれる。
同じ地球で、住む場を追われ、海を渡る人々と私たちは共に生きている。
ひとりでも多くの方に観ていただきたい。
緒方貞子
第8代国連難民高等弁務官
とても静かな作品だ。
でも、私たちがそこから受け取るものは途方もなく大きい。
西加奈子
作家
現実にしか見出せない生きる事の美しさ、
愛おしさ、残酷さ、儚さ、悲しさ。
それらの要素が綿密に紡がれて仕上がった深い詩のような映像に、
出どころのわからない涙が溢れ続けた。
ヤマザキマリ
漫画家
島で穏やかな生活を送る人々と命を賭けた密航を選んだ人々。
2つのかけ離れた世界をつなぎ、
難民問題が持つ深い問いかけを静かに伝える。
国谷裕子
キャスター
(日本経済新聞「あすへの話題2016.12.28」より)
島民の素朴な生活と難民の過酷な状況がひどく対照的ですが、
そのショッキングな様子が終始淡々と描かれます。
今後の世界のゆくえを、ヒントを与えず、静かに考えさせる作品です。
ピーター・バラカン
ブロードキャスター
交差しない、二つの世界から思う。
最初から“難民”だった人はいない。
彼らがかつて、この島のような“日常”を営んでいたことを。
安田菜津紀
フォトジャーナリスト
ジャンフランコ・ロージの手にかかると、
アフリカ難民の命がけの渡航も、子どもたちの冒険も、
おばあさんのベッドメーキングも、等しく「生きること」のメタファーになってしまう。
彼は卓越した映像の詩人だ。
想田和弘
映画作家
かわいらしい少年の日常がある一方で、
過酷な旅を経て同じ島にたどり着く方たちが数多くいる。
まるで島の光と影のよう。
そのひとりひとりにストーリーがあることを大切にしたい。
春香クリスティーン
タレント
小さな島を囲む海と空は、
息をのむほど美しく、
胸が苦しくなるほど残酷だ。
ロージ監督のドキュメンタリーは、
世界の見え方を変える映像詩だ。
小野正嗣
作家
小さな島に暮らす人々の日常も、船でやって来る難民たちの困難も、共に冷静な情景となってフィルムに刻まれている。 だからこそ、第三者の自分たちはその場に想いを寄せることができるのだ。
奈良美智
美術家
燃える海のかなたから
途絶えることなく流れ着く難民たち
その荒海へと漕ぎ出す漁民たち
デザイナー、エットレ・ソットサス
フォトグラファー、東松照明も
煉獄でしかなかった世界から
最後に辿り着いたのが
最南端の島々
ランペドゥーサと波照間だった

そこでは時が止まっている
磯崎新
建築家
冒頭から一瞬も目が離せなかった。
捉えられた光と音の圧倒的な美しさに引き込まれながら、現在世界で起きている困難に打ちのめされた。

ジャンフランコ・ロージ監督は映像というメディウムの特性と可能性を真に熟知し、ドキュメンタリーの新たな可能性を切り拓いている人なのだと思う。

映像、写真、絵画、音楽など分野は問わず、何か表現に携わる人は必ず見た方がいい作品だと思った。
新津保建秀
写真家
まるで異星を観察しているように、
カメラは、静かに、不思議な距離を保って、ある場所のある時を生きる人々を写し取ってゆく。

目の前に広がる世界。
誰にとっても同じように存在している筈の世界。
「見えている」と思い込んでいる世界も、使い慣れたほうの目を閉じてみれば、
よく見えていなかったことに気づく。
見ようとしていなかったのかもしれないし、
そもそも見えていなかったのだから知りようがなかっただけかもしれない。

あらためて世界は広い。
だけれども、画面に映る、どの人にも自分はなり得ると思わせる。

こちらで日々を暮らす自分にも同じようにカメラが向けられたなら、何が写るのだろうか。
高木 正勝
音楽家/映像作家
「カメラは加害者だ」は大島渚の名言だが、
この優しい眼差しは何だろう。

『海は燃えている』を観るまで、舞台となるイタリア最南端の小さな島の存在を知らなかったが、
彼らは私たちと地続きにあり、あしたの私たちでもある。
『この世界の片隅に』にも似た、ささやかな毎日が小さな祈りとともに続いていく。
樋口毅宏
作家
難民が辿り続ける小さな島。
日常と非常が同居する舞台で、カメラが生きることの尊さを映し出す。
難民問題が注目される今、共有されるべき風景。
荻上チキ
評論家
叫ばない。歌わない。訴えない。無為の眼差しが映画を貫く。
観終わった後、自分の目に尋ねよ。わたしは何を見たのかと。
小池昌代
詩人・作家
これは、ただ報道番組より、多くの情報を得られる記録映画などではない。
自らもエリトリアからイタリアへ逃れた、ジャンフランコ・ロージ監督にしか決して撮れない、
ドキュメンタリーの概念を覆す名作である。
島村菜津
作家
人は海を渡る。
難民。移民。亡命者。観光者‥‥‥。
ただ生まれた時と場所が違っただけ。
私もあのボート上のひとりだったかもしれない。
内田洋子
ジャーナリスト
この映画は、交わることのない二つの世界を、静かにつないでくれる。
ちょうど、島でたった一人の医師が二つの世界をつないでいるように。
長有紀枝
立教大学教授・難民を助ける会理事長
本作品を観ると、ニュースの受けとめ方が前とは違っているのがわかる。
数ではない。一人ひとりの尊厳こそが重要なのだと、
ランペドゥーサ島の断崖に立ち、海に向かって叫んでいる、想像の自分がいる。
池田香代子
翻訳家
Marbelous!驚くべき映画!
ジュリエット・ビノシュ
女優
ランペドゥーサ島にやってくる人々を、数ではなく、ひとりひとりの人間として描いている。 この素晴らしい映画を、世界中の人々に観てほしい。
マッテオ・レンツィ
元イタリア首相
ファンタスティック!
パオロ・ソレンティーノ
映画監督
最高傑作!
難民危機に向けられた見事な視点。美しく、ミステリアス。感動的なドキュメンタリー。
ガーディアン
印象派の絵画のように、観るものを夢中にさせる。
フレデリック・ワイズマンのドキュメンタリーのように、細やかなシーンの連なりから、観るものに全体像を描かせる力がある。
ニューヨーク・タイムズ
ランペドゥーサ島の住民たちへのアプローチによって、ますます深刻化する世界の危機にスポットライトを当て、難民と交わることのない彼らの姿に、私たち自身の姿が投影されている。
ヴァラエティ
メインストリームのメディアによって扇情的に報じられる主題に対して、とても知的なアプローチをしている。
この現在進行形の大惨事の知られざる一面を、鋭く、影の多い映像で捉えている。
そのイメージは、目が覚めるような美しさだ!
インディー・ワイヤー
パワフル!
ときに衝撃的だが、これは究極の人間ドキュメンタリーだ。
スクリーン・インターナショナル
報道では伝えられない真実が描かれている。
ハリウッド・レポーター
映画に映し出される多面的な現実が、まるでフィクションのように魅力的だ。
生と死、ありふれた日常と多くの死、成長と老い、家族と国家、対立と調和…それぞれがお互いに作用しあう。
色鮮やかで、複雑、人間味があふれている。
フィナンシャル・タイムズ
必見!この映画は説教したりはしない。
ロージ監督は、絵画のように端正にランペドゥーサ島と海の魔法のような景色を映し、静かな衝撃を描き出す。
サイト&サウンド
忘れることができない傑作。
ヴィレッジ・ヴォイス
ドラマ化もなく、涙腺を刺激する音楽もなく、怖いもの見たさの好奇心もなく、 ロージ監督は淡々と、しかし威厳をもって、この島の悲劇を映す。
TVのイメージに慣れた私たちの眼は、物事を違った風に見始める。
レザンロキュプティブル
無関心への有効な一撃。 
リベラシオン
難民と島民が並行的に描かれる二重構造を持つこの映画の主人公は、私たちだ。
大量の死が私たちの間近にあるという恐るべき事実にも関わらず、私たちの生活は続く。 
エルベ・ブリュシニ
サムエレがパチンコで的に狙いを定めた顔のクローズアップ。集中によってしかめた顔は、攻撃的でありながらも、無垢で脆弱だ。そのショットは、静かでありながらセンセーショナルである。彼はまるで、ヴィットリオ・デ・シーカ監督『自転車泥棒』の若きエンツォ・スタヨーラだ。そのサムエレの顔の意味は?彼はどこかで世界史の胞子を吸収しているのか?彼の飾らない振る舞いは、思いやりや解決策なく人生は続くことを示唆しているのか?この映画は見事だ。
ガーディアン
※順不同・敬称略