Introduction

ホン・サンスほど自分の欲望に忠実に、そして自由に作品を創り上げる監督はいない。私が出会った監督ではゴダール以来だ。----イザベル・ユペール

言葉が通じなくたって恋はできちゃう。 異国の海辺の街で繰り返されるアンヌの恋のヴァカンス。

初夏のゆったりとした時間が流れる海辺の街モハン。ヴァカンスに訪れたフランス人のアンヌ――成功した映画監督浮気中の人妻離婚したばかりの女性。同じアンヌという名前の3人は、偶然にも同じ情熱的なライフガードに出会う。灯台の他にこれといって何もない異国の地で繰り返されるアンヌの恋のヴァカンス。アンヌと言葉が上手く通じないライフガードとの淡くぎこちない恋の結末は・・・。

ホン・サンス   イザベル・ユペール 新たなるコラボレーション

主人公の3人のアンヌには、ゴダールやシャブロルといったヌーヴェルヴァーグの作家たちの作品から、ミヒャエル・ハネケ、フランソワ・オゾン、デビッド・O・ラッセルなど世界の名だたる監督たちの作品に出演するフランスの名女優イザベル・ユペール。それぞれ違うキャラクターのアンヌをチャーミングに演じ、ホン・サンス作品には欠かせないユ・ジュンサン、ムン・ソリ、チョン・ユミら韓国人キャストと絶妙なアンサンブルを見せる。それは、イザベル・ユペールにとって、ヴァカンスに訪れたアンヌのような体験であった。
監督は、韓国のみならず、ヨーロッパでも絶大な人気を誇るホン・サンス。初めて海外の女優イザベル・ユペールを主演に起用した本作は、カンヌ国際映画祭で上映され、その新たなコラボレーションが絶賛された。フランス公開時に発売されたカイエ・デュ・シネマでは、表紙を含め30ページにもわたるホン・サンスの異例の大特集が組まれた。『3人のアンヌ』はホン・サンスのまさに新たなステージの幕開けといえよう。

言葉の壁をも越えた軽妙な会話、遊び心に満ちた仕掛け、楽しさ溢れるパラレル・ワールド!

韓国語、英語、フランス語――さまざまな言葉を使ったコミュニケーション。アンヌと旅先で出会う人々とのぎこちなくもユーモアたっぷりのやり取りが楽しい。
青いシャツ赤いワンピース緑のワンピース――各エピソードのテーマカラーというべき、アンヌが身につけている洋服の鮮やかな色。3人のアンヌのキャラクターを表現している。 傘、灯台、テント、ギター、焼酎の瓶、そしてライフガード――色分けされたエピソードに散りばめられたアイテムが3つの話をひとつに繋げてゆく。

配給:ビターズ・エンド