Bitters End
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『少年と砂漠のカフェ』
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解説 < 少年と砂漠のカフェ
BITTERS END shopping gallary

『少年と砂漠のカフェ』のワールド・プレミア上映となった、2001年ロカルノ国際映画祭。終映後、満席の場内からは拍手喝采が湧き起こり、フランスの有力紙ル・モンドは「監督のアボルファズル・ジャリリは、その途方もない才能の荒々しくかつ叙情的な一吹きによって、ロカルノ国際映画祭のコンペティションに生気を与えた」と絶賛の評を掲載した。そして『少年と砂漠のカフェ』は準グランプリにあたる審査員特別賞だけでなく、国際シネクラブ連盟賞、ヤング審査員賞の三冠を受賞するという快挙を成し遂げた。その後も各国の映画祭で絶賛され、東京フィルメックスでは審査員特別賞、ナント三大陸映画祭では見事グランプリの栄誉に輝いた。

奇蹟の映像作家、アボルファズル・ジャリリの集大成

●監督は、ドキュ・ドラマと称される独特な映像表現によって、国際的に高い評価を受けている映画作家アボルファズル・ジャリリ。社会矛盾をリアルに描き出すそのテーマ性ゆえ、本国イランでは大半の作品が上映禁止となっている。過酷な状況下に生きる子供たちを、常に作品の中心に据えてきた彼が、本作『少年と砂漠のカフェ』の主人公に選んだのは、アフガン難民の少年である。ジャリリは、少年の日常のエピソードをひとつひとつ積み重ね、物語を紡いでゆきながら、その背景にある、今なお政治的混乱に揺さぶられるアフガニスタンの悲劇的な状況をも浮かび上がらせる。

●本作でジャリリは、少年だけでなく、彼を受け止める大人たちにも焦点をあてる。キャインを逮捕する警官、そんな彼を助けるため警察に乗り込んで行くハレーおばあさん、一緒に働くハン老人やカフェに出入りする人々。大人たちは、積極的に少年の人生に関わってゆく。過去の作品において、前向きに生きる子供たちに比べ、大人たちは希薄で無力な存在であった。子供と同じ目線で、子供を救うために映画を撮り続けてきたジャリリの興味は、大人の世界まで広がってきたと言えよう。このことは、これからのジャリリの新しい展開を予感させる。

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運命の出会い――真実の物語の誕生

●ジャリリは、ロケハンのため車で砂漠を走っていたところ、ひとりの羊飼いの少年に目を奪われる。彼こそが、本作の主人公キャインである。キャインがアフガン人であることがわかると、主人公の設定をアフガン難民の少年に変更し、物語を膨らませていった。この運命的な出会いから本作『少年と砂漠のカフェ』は誕生した。2001年9月11日、ニューヨークを襲った同時多発テロとそれに引き続くアフガニスタンへの米軍の爆撃。この事件が起きる少し前、キャインは故郷に残っている家族に会いに行くため、アフガニスタンへと戻っていった。しかしその後の彼の消息はつかめていない。映画を通して、キャインに自立することを教えたジャリリは、必ずもう一度彼に会えると信じている。

●イランでのアフガン難民の数は、150万人とも200万人とも言われている。アフガニスタンだけでなく、世界中の戦争や紛争がなくならない限り、キャインと同じような状況の子供たちが、いなくなることはないだろう。「国や民族によって人々を分けることは意味がない。世界中の人間がひとつの民族として共生すれば、戦争や紛争はなくなる」と考えるジャリリは、本作『少年と砂漠のカフェ』を世界中の戦災孤児に捧げている。