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失われた者達への思いが
ガレルに映画を作らせる
 ジャン=リュック・ゴダールの再来と呼ばれた“ヌーヴェル・ヴァーグの恐るべき子供”フィリップ・ガレル。アンディー・ウォーホルのファクトリーとの接触後、ヴェルヴェッド・アンダーグラウンドのニコと出会う。その後、10年間生活を共にすることになる二人は、ガレル自身“愛の産物”と呼ぶ7本の作品を作り上げる。離婚後の1988年にニコは事故死してしまうが、彼女との生活を題材に2本の作品(『秘密の子供』『ギターはもう聞こえない』)を撮る。本作でも銃自殺を遂げた親友ジャン・ユスターシュ(『ママと娼婦』監督)の記憶が語られるが、失われた愛する者たちへの思いが、フィリップ・ガレルに映画を作らせる。
 
「ガレルは息をするように映画を撮る」
ジャン=リュック・ゴダール

 主演は、ヴィム・ベンダース監督『アメリカの友人』の名優ルー・カステルと、ヌーヴェル・ヴァーグ・チルドレンとでも言うべきオリヴィエ・アサイヤス監督作品にも連続出演しているジャン=ピエール・レオー。『ギターはもう聞こえない』でニコが投影されたマリアンヌ役を演じたのに続くガレル作品への出演となるヨハンナ・テル・ステーヘ。冬のパリの夜、そして俳優一人一人を生々しく捉えるモノクロの撮影は『勝手にしやがれ』『突然炎のごとく』の名匠ラウル・クタール。元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルが音楽を担当し、美しいピアノ・ソロを聞かせている。