フィルモグラフィ・監督の言葉

フィルモグラフィ
- 1995
- 「小山の帰郷」 ※中編ビデオ
第2回香港インディペンデント短編映画&ビデオ賞 金賞 - 1997
- 『一瞬の夢』
第48回ベルリン国際映画祭 ヴォルフガング・シュタウテ賞(新人監督賞)/NETPAC賞
第3回プサン国際映画祭 ニュー・カレント賞(最優秀作品賞)
第17回バンクーバー国際映画祭 ドラゴン&タイガー賞
第20回ナント三大陸映画祭 グランプリ/主演女優賞
第41回サンフランシスコ国際映画祭 SKYY賞 ベルギー王立シネマテーク選出 黄金時代賞 - 2000
- 『プラットホーム』
第57回ヴェネチア国際映画祭 NETPAC 賞
第22回ナント三大陸映画祭 グランプリ/ナント市賞
第15回フリブール国際映画祭 国際批評家連盟賞/ドン・キホーテ賞
第14回シンガポール国際映画祭 ヤングシネマ賞
第3回ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭 グランプリ - 2001
- 「In Public」 ※短編ドキュメンタリー、オムニバス作品「三人三色」の一篇
第12回マルセイユ国際ドキュメンタリー映画祭 グランプリ - 2002
- 『青の稲妻』
第55回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品
第16回シンガポール国際映画祭 国際批評家連盟&NETPAC特別賞/アジア映画特別賞 - 2004
- 『世界』
第61回ヴェネチア国際映画祭 コンペティション部門正式出品
第7回ドーヴィル・アジア映画祭 脚本賞
第6回ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア国際映画祭 金賞(最優秀作品賞)/撮影賞
第10回ヴズール国際アジア映画祭 審査員グランプリ
第29回サンパウロ国際映画祭 批評家賞(国際部門)
第9回トロント映画批評家協会賞 最優秀外国語映画賞 - 2006
- 『長江哀歌(エレジー)』
第63回ヴェネチア国際映画祭 金獅子賞(グランプリ)
第1回アジアン・フィルム・アワード 最優秀監督賞
第34回ロサンゼルス映画批評家協会賞 最優秀撮影賞/最優秀外国語映画賞
第3回アデレード映画祭 グランプリ
第7回華語電影傳媒大奨 観客賞
第28回ダーバン国際映画祭 最優秀監督賞
第34回SESC映画祭 最優秀外国語映画賞/最優秀外国語映画監督賞
第15回上海映画批評家協会賞 優秀賞
第8回ヴィレッジ・ヴォイス選出 最優秀未公開映画賞
第81回キネマ旬報ベスト・テン 外国映画第1位/監督賞
第62回毎日映画コンクール 外国映画ベストワン賞
第50回朝日ベストテン映画祭 洋画第1位
「東」
第63回ヴェネチア国際映画祭 オリゾンティ部門 ドキュメンタリー作品賞/オープン賞
第5回台湾ドキュメンタリー映画祭 最優秀アジア・ドキュメンタリー賞 - 2007
- 「無用」
第64回ヴェネチア国際映画祭 オリゾンティ部門 最優秀ドキュメンタリー作品賞 - 2008
- 『四川のうた』
第61回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品
第1回華語十佳頒獎典禮 トップテン映画 - 2010
- 「海上伝奇」
第63回カンヌ国際映画祭 ある視点部門正式出品
第7回ドバイ国際映画祭 最優秀ドキュメンタリー映画賞
第30回ハワイ国際映画祭 ドキュメンタリー賞
第2回華語十佳頒獎典禮 最優秀ドキュメンタリー賞 - 2013
- 『罪の手ざわり』
第66回カンヌ国際映画祭 脚本賞
第17回トロント映画批評家協会賞 最優秀外国語映画賞
第77回フランス映画批評家協会賞 最優秀外国映画賞
第7回アブダビ映画祭 最優秀作品賞
第50回金馬奨 最優秀音楽賞/最優秀編集賞
第36回デンバー映画祭 クシシュトフ・キェシロフスキ賞(作品賞)
第40回ゲント映画祭 最優秀映画音楽賞
第4回華語十佳頒獎典禮 監督賞/主演女優賞/主演男優賞/トップテン映画 - 2015
- 『山河ノスタルジア』
第68回カンヌ国際映画祭 パルム・ウィスカーズ賞
第63回サン・セバスチャン国際映画祭 観客賞(ヨーロッパ映画)
第52回金馬奨 オリジナル脚本賞/観客賞
第9回アジアン・フィルム・アワード 最優秀脚本賞
第23回北京大学生電影節 監督賞
第23回クロトゥルーディス賞 編集賞
第14回国際オンライン映画賞 ハーフウェイ賞主演女優賞
第33回マイアミ映画祭 最優秀演技賞
第22回ミンスク国際映画祭 傑出映画賞
第19回オンライン映画批評家協会賞 優秀米未公開映画賞
第21回サンディエゴ映画批評家協会賞 最優秀外国語映画賞
第24回上海映画批評家協会賞 優秀賞 - 2018
- 『帰れない二人』
第71回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品
第54回シカゴ国際映画祭 監督賞/女優賞
第12回アジア太平洋スクリーン・アワード 女優賞
第41回デンバー映画祭 特別賞
第39回マナキ兄弟国際撮影監督映画祭 シルバーカメラ賞
第13回アジア・フィルム・アワード 最優秀脚本賞
第19回ダブリン国際映画祭 審査員特別賞
第25回ミンスク国際映画祭 監督賞/女優賞
第10回華語十佳頒獎典禮 監督賞/主演女優賞/主演男優賞/トップテン映画
第27回上海映画批評家協会賞 優秀賞

監督の言葉
中国語題「江湖儿女」が示すもの
中国語題「江湖儿女」(江湖の息子たちと娘たち)は、「田舎町の春」(48/原題:小城之春/2002年にティエン・チュアンチュアン監督が『春の惑い』題でリメイク)で知られる中国映画の巨匠監督フェイ・ムーが最後に取り組んでいた企画名から借りました。フェイ・ムー監督が書いたその脚本はのちにチュー・シーリン監督が旅芸人一座の物語“江湖儿女”(52/英題:THE SHOW MUST GO ON)として映画化しました。私の映画はその物語とは何も関係ありませんが、この中国語題をとても気に入っています。“儿女”という言葉は、愛し合い、憎み合う、男と女を暗示しています。“江湖”は“川と湖”という文字以上の意味があり、言葉にするのは難しいのですが、“真に危険な世界”“激しい感情の世界”をも表します。この二語を組み合わせると、世間の流れに逆らおうとする人々、優しさと敵意、愛と憎しみによって生きる人々を想起させます。
『帰れない二人』で描かれる3つの時代と江湖
“江湖”は故郷を持たない流浪の民の居場所です。この映画の一つ目のパートにおいて、山西の裏社会での、新しい世代の台頭と古い世代が抱く危機感として“江湖”が出現します。荒れ果てた土地、寒々しい気候、古びた炭鉱という舞台は西部劇のようでもあります。二つ目のパートは、ダム建設で村ごと消えてしまった長江の三峡ダム地区が舞台です。主人公チャオは人に騙され、その後、人を騙します。社会の片隅で生き抜く術を身に着けるのです。山西に舞台が戻る最後のパートで、ビンは新たな旅に出ます。彼には、内なる激情を解き放つ“江湖”が必要だったのです。そこは、チャオが留まることを選ぶ場所でもあります。
たどり着けない場所
中国の北西部奥地の新疆のウルムチ、チャオが『帰れない二人』の中で決してたどり着けない場所です。おそらく誰にでもそのような、決してたどり着けない場所があると思います。距離の問題だけでなく、新しい人生を送ることはとても難しい。愛や記憶、習慣といった感情の束縛から逃れられないのです。それでも自由になろうともがく時、その結果はその人の尊厳を反映するものになります。
激動の変化を経験した、現代中国のラブストーリー
『帰れない二人』のチャオとビンは、社会の片隅で秩序に刃向かって生きています。彼らの苦境に共感を覚えます。駆け出しの頃の私の人生を思い出すのです。その当時、自分の思うままに社会の真実を表現する映画を作ることは危険でした。そのため、失われた青春と将来についての空想という脚本執筆に没頭しました。 この映画は21世紀初頭の中国から始まり、2018年で終わります。私はいつも長い期間にわたる物語に興味がありました。時間には、人々の秘密や物語、経験が保管されています。そこで私は、私が歩んできた48年間の人生を使って、歴史的にも激動の変化を経験してきた現代中国を舞台にしたラブストーリーを語りたいと思ったのです。