南の島で生まれた3つのおとぎ話

抜けるような青い空と碧い海、そしてどこまでも続く白い砂──小さな島を舞台に、今まで誰も観ることのなかった不思議な世界が、心地よい波の音とともに、スクリーンに映し出される。
海岸に流れ着いた外国製品の段ボールに恐怖を感じ、魂を奪われる女性と、慌てふためくその夫の姿をユーモラスに描く『ギリシャ船』で、本作『キシュ島の物語』は幕を開ける。続く『指輪』では、島へやってきて、釣った魚や拾い集めた貝殻を売るなど、ありったけの方法でお金を稼ぐ青年の暮らしが、詩情豊かに綴られてゆく。そして最後に、全財産であるドアをかつぎ、砂漠を旅する老人と黒い仔ヤギを連れたその娘、なぜか彼らを訪ねてくる郵便配達や楽団をシュールに描く『ドア』が、この物語を締めくくる。
カラフルな段ボール、女性たちのエキゾチックな衣裳の鮮やかな色彩。そして、まじない師や楽団が奏でる歌や音楽。それらが、ひとつに溶け合い、まるでこの世のできごとではないかのような映像と音を生み出し、観るものを別世界へと誘い、連れてゆく。

『指輪』画像
キシュ島の物語

解説1 ・ 解説2解説3トピックス
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キシュ島の物語