風見章子 かざみ・あきこ

1921年、群馬県生まれ。14歳で当時大人気のエノケン(榎本健一)一座に入団。37年、日活の新人俳優募集に合格し、その翌年、各誌でベストワンに推された内田吐夢監督の『土』で主人公の娘役を演じ鮮烈なデビュー、以後メロドラマ、人情ものを中心に活躍する。41年には松竹太泰撮影所に移籍。『母子草』(42 田坂具隆)、『鳥居強右衛門』(43 内田吐夢)などで注目されたが、結婚と同時に一時引退。復帰後はフリーとなり出演本数を抑えるも、地味ながらも的確な演技力を武器に各社の巨匠に起用された。主な作品には『また逢う日まで』(50 今井正)、『めし』(51 成瀬巳喜男)、『仇討崇禅寺馬場』(57 マキノ雅弘)、『大いなる旅路』(60 関川秀雄)、『飢餓海峡』(65 内田吐夢)、『赤ひげ』(65 黒澤明)がある。近年はTV、舞台での活躍が主だが、『木村家の人びと』(88 滝田洋二郎)、『眠る男』(96 小栗康平)などの味わい深い演技が印象的。本作では、フランスのナント三大陸映画祭で主演女優賞を受賞した。