スノーピアサー
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2014年7月1日、年々深刻化となる地球温暖化を防ぐため79カ国によって人工冷却物質が散布された。その結果、地球は新たな氷河期に突入。地球を1年かけて一周する列車「スノーピアサー」に乗り込んだ者だけが生き残った。それから17年後の2031年。氷に覆われた地球上では、永久不滅のエンジンを有する「スノーピアサー」だけが人類にとって唯一の生存場所だ。だが、最後の人類を乗せたこの「ノアの箱舟」は、富裕層と貧困層とに分けられ、無賃車両である最後尾車両は、スラム街さながらにみすぼらしく汚れ、飢えた人々で溢れている。その一方、豪華クルーズ船のような前方車両の乗客たちは氷河期以前の地球上での生活と変わらない日常を送っている。列車が走り始めて17年間、この列車の主、ウィルフォード産業によって虐げられてきた歴史を変え平等な世界を取り戻すべく、カーティスは仲間と共に革命を企て、ウィルフォードがいる先頭車両を目指すが――。
「スノーピアサー(雪を突き抜ける列車)」の中でしか生きられないという特異な設定の面白さ、列車という密閉された空間で繰り広げられる緊迫感満載のアクション、謎に包まれた先頭車両をめぐるサスペンス&ミステリー、そして乗客たちに秘められた人間ドラマ。映画『スノーピアサー』には、エンターテインメントを司るすべての要素が絶妙なバランスで詰まっている。
オープニングから驚愕のエンディングまで、人類の「未来図」であり「謎」ともいうべき、壮大で深淵なドラマがノンストップで展開する! 新たなSF映画の金字塔として永遠にその名前を残すことは間違いないだろう。
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主人公カーティスを演じるのは、『アベンジャーズ』で次世代のアメリカンヒーロー“キャプテン・アメリカ”を演じたクリス・エヴァンス。本作では、たくましく強靭な肉体を使った迫力あるアクションを披露するだけでなく、最後尾車両を率いるリーダーとしての苦悩や葛藤、さらに秘められた過去への悔いや哀しみを見事に体現し、観る者の心をうつ。
スノーピアサーの創造主であり、絶対的権力者のウィルフォードを演じるのは、『トゥルーマン・ショー』でゴールデングローブ賞を受賞した名優エド・ハリス。後方車両の乗客たちの精神的リーダー、ギリアムには『ハリー・ポッター』シリーズのジョン・ハート。前方車両へと進むため、各車両の扉を開ける“セキュリティーのプロ”ナムグン・ミンスを演じるのは、アジアきっての名優ソン・ガンホ。列車スノーピアサーを率いるウィルフォード産業のNo.2であるメイソンに扮したのは、『フィクサー』でアカデミー賞助演女優賞に輝いたティルダ・スウィントン。『ヘルプ~心がつなぐストーリー』でアカデミー賞助演女優賞ほか各賞を総なめしたオクタヴィア・スペンサーが息子を取り戻すために闘う母親を演じるほか、カーティスと共に前方車両へと向かう仲間として、『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベルがエドガー役を、『トレインスポッティング』のユエン・ブレムナーがアンドリュー役を、『アパリション-悪霊-』のルーク・パスカリーノがグレイ役をそれぞれ演じている。さらに『グエムル』でソン・ガンホと父子を演じたコ・アソンが、スノーピアサーで生を受けた17歳の無垢な少女を演じ、そのほか、ドラマ「ニュースルーム」のアリソン・ピルが小学校車両の先生を、『4カ月、3週と2日』のヴラド・イヴァノフが不死身のスナイパーに扮するなど、実に個性的でバラエティ豊かな面々が映画を彩っている。
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監督は、『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』『母なる証明』と作品を発表するごとに、斬新な映像、緻密な構成、完璧なストーリーテリング力で常に観客を圧倒させ、世界がその才能に瞠目するポン・ジュノ。彼が初めてインターナショナル・キャストを迎えた本作においても、スクリーンの端から端まで計算され尽くした画作りと、冒頭からラストに至るまで細部に張られた伏線の見事さは健在だ。本作が超級の近未来SFエンターテインメントでありながら、深みのあるヒューマンドラマとしても第一級の作品になりえたのは、人間という存在の“謎”を描き続けるポン・ジュノ監督の真摯なまなざしがあるからこそだ。
原作はフランスのコミック「LE TRANSPERCENEIGE」。3部作で構成されているこのコミックは、ジャック・ロブとジャン=マルク・ロシェットによって第1部「TRANSPERCENEIGE:脱走者」が1984年に発表され、ジャック・ロブの死後、ベンジャミン・ルグランドとジャン=マルク・ロシェットによって第2部「TRANSPERCENEIGE:先発隊」、第3部「TRANSPERCENEIGE:横断」が発表された。
本作の脚本を、ポン・ジュノと共に手がけたのは、映画脚本家デビュー作『その土曜日、7時58分』で一躍脚光を浴びたケリー・マスターソン。作品世界を盛り上げる音楽を担当しているのは、『ワールド・ウォーZ』『ウルヴァリン:SAMURAI』のマルコ・ベルトラミ。VFXは『バットマン フォーエヴァー』『スパイダーマン2』のエリック・ダーストが務めている。