Director's Statement

“春”はいつもと同じように、桜で始まった。
しかし、子供たちがにぎやかにランドセルを背負って学校へ行こうとしたある春の朝、
敵のジェット機がやってきて、空から爆弾が降ってきた。
幼い子供たちは逃げることができなかった。
夕暮れになる頃、白かった山桜は血の色に染まっていた。
木々は焦げて、真っ黒になっていた。

自分の映画生活の最初の春に、戦争で家族や家をなくした子供たちを探した。
私は我が国の子供たちのこれからの人生を案じていた。
そして、ひとつの決心をした。
私の手で彼らに安全な場所を見つけるのだと。
山桜が本来の色、白い花を咲かせる場所を…。

2001年9月　アボルファズル・ジャリリ