Bitters End
配給作品
『ヴェルクマイスター
・ハーモニー』
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解説<ヴェルクマイスター・ハーモニー
BITTERS END shopping gallary

連中は昨日、来た。
確かなことは誰にもわからない。
まるで夢のよう。
そして、息をのむ。


ハンガリーの荒涼とした田舎町に暮らす住人達。その不気味な日常に、不穏な「石」が投げ込まれる。それは町の広場に忽然と現れた、移動サーカスと見せ物の"クジラ"、広場に響く"プリンス"と名乗る煽動者の声。彼らはどこから来てどこへ行くのか。煽られるように広場に群がる住人達。そして、不協和音が響くように町中の何かが歪み始めた。住人達の興奮は最高潮に達し、破壊とバイオレンスへと向かい始める・・・。

漆黒の闇のようなモノクロ映像。未知のスペクタクルを観る者に喚起させるカメラワーク。2時間25分という上映時間に、たった37カット。その、時間という概念を無視するような長回しのショットは、永遠に宇宙の闇の中で輝く太陽のようだ。
天文学、爆発と炎、群衆の行進、暴動、戦車とヘリコプター、そしてクジラ・・・。現れては消え、あるものは、また現れる。どこからかやって来た、移動サーカスが見せ物であるように、この映画もひとつの"見せ物"であるかのようだ。観る者のイマジネーションをこれ程までにかき立てる、この作品こそ、まさに世界の周縁から現れた、「ファンタジー」である。

ビジュアル
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ジム・ジャームッシュ、ガス・ヴァン・サントが驚嘆した幻のハンガリーの鬼才、タル・ベーラ

ヴィレッジ・ヴォイス紙が選ぶ"2001年のベスト・ディレクター"として『マルホランド・ドライブ』のデイヴィッド・リンチ、『花様年華』のウォン・カーウァイに次いで、本作とタル・ベーラが選出!

モノクロ、7時間半の大作「サタンタンゴ」(1994)で世界を震撼させた、ハンガリーの鬼才タル・ベーラ。東ヨーロッパとロシア、アジアに挟まれ、古代から様々な文化が交錯する神秘の国、ハンガリー。その作品も、東欧映画のように異質、アジア映画のように出鱈目で、ロシア映画のように硬質で、出会ったことがない未知の多様性を感じさせる。2001年秋には、ニューヨーク近代美術館(MOMA)で特集上映が行われ、ジム・ジャームッシュ、ガス・ヴァン・サントなどの映像作家を驚嘆させた。
本作『ヴェルクマイスター・ハーモニー』は、「サタンタンゴ」と同じくハンガリー人作家クロスナホルカイ・ラースローの小説「抵抗の憂鬱」の映画化である。当初、タル・ベーラは本作の製作を考えていなかった。しかし、俳優ラルス・ルドルフとの運命的な出会いが彼を突き動かした。「彼こそがヴァルシュカ・ヤーノシュだ」との思いに取りつかれ、4年の歳月をかけて本作を完成させた。東・中ヨーロッパの歴史や風土を基にしながら"永遠"や"宇宙"というテーマにも触れる、"未知なる巨匠"タル・ベーラが生み出した壮大な叙事詩である。そして本作が、タル・ベーラ作品として初めての劇場公開作品となる。
ファスビンダー作品やゴダールの『パッション』等で知られる国際的女優、ハンナ・シグラが、「タル・ベーラ作品なら」と9年振りに映画出演している。