Bitters End
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『リアリズムの宿』
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Director's Notes


今回の作品は、僕らにとって初の原作もの。そのうえ、漫画である。僕自身、マンガは好きでよく読むほうだが、いざ映画と繋げて考えるとなると近いがゆえの難しさに正直、困惑した。原作の著者はつげ義春さん。僕も大学時代から好んで読んでいた漫画家だ。
今回、僕らが選んだ原作は、いわゆる“旅もの”といわれるシリーズで、都会に住む男が地方の温泉地を巡り、小さな事件やその地に関するちょっとした小話に出会うのが主な筋である。まず、原作自体、僕らが生まれる前に発表された作品なので、そのまま作るとなると時代劇を作ることになるのでそれはやめようと思った。設定を現代に移し、つげさんの作品世界の中に僕らが作り出したキャラクターを放り込む方法を取った。つまり、つげさんのオリジナリティと僕らのオリジナリティを正面対決させようと思ったのだ。

ビジュアル

主人公のふたりの男は東京で自主映画を作っている男たちで、そのふたりがサエない旅を通して少しだけ前向きに心を通わせていく。映画だけじゃなく、何か作品を作っている人はどこか生身の人間が苦手なんじゃないかと僕は思う。人間が嫌いなのではなく、逆に興味があり、好きだからこそ臆病になってしまう。誰にも強要されない自主映画を作ってる主人公のふたりは、まさにそういう人間だ。つまり、僕自身でもある。
そんなキャラクターでつげさんの作品と正面対決したところどうなったか?
結果、なんともやさしい映画が出来上がった。
ひとりでじっとしていたら、そこにドラマは生まれないが、人と向き合いながら歩き続ければ小さいながらもドラマが生まれると思う。
今回『リアリズムの宿』を作ってみてそんなふうに思った。


――山下敦弘(監督)