ひと組のカップルの別れから再生までを男と女それぞれの視点から2作品で映し出すという大胆な発想と計算し尽くされた見事な演出で世界に大きな衝撃を与えた、『ラブストーリーズ コナーの涙』、『ラブストーリーズ エリナーの愛情』。同じ時間軸で展開していく両作は、それぞれの独自シーンに加え、記憶の違いを表現するため、2人が共に過ごすシーンでもそれぞれの作品で台詞、服装、立ち位置が微妙に異なっている。2作品に分かれているからこそ表現できた、男と女が見ている世界の違い。1作品だけでも十分に楽しめるだけでなく、2作品観ることでより深い男女の感情に触れ、さらに先にどちらから観るかで映画の感じ方さえ変わる、全く新しい映画体験となるだろう。カンヌ国際映画祭 ある視点部門、トロント国際映画祭 SPECIAL PRESENTATIONS部門に出品され、“かつてないほどロマンティックな愛の物語”と評された本作が満を持して2015年2月14日、日本公開となる。
エリナーを演じるのは『ゼロ・ダーク・サーティ』(13)でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、本作ではプロデューサーとしても名を連ねるジェシカ・チャステイン。ワールドプレミアとなったトロント国際映画祭の舞台挨拶では感極まって涙するなど本作に対する想い入れは人一倍強い。コナーを演じるのは『X-MEN:フューチャー&パスト』(14)、『つぐない』(08)など幅広い活躍をみせるジェームズ・マカヴォイ。2人のスケジュールを合わせるため撮影開始が2年待たれたというのも納得の絶妙なコンビネーションとふたりにしか表現できない男女の心の機微が観る者の心を揺さぶる。エリナーを優しく見守る両親を演じるのは、イザベル・ユペールとウィリアム・ハート。口数は少ないが、深い愛情でコナーを支える父親役には数多くの舞台に出演し、近作では『アナと雪の女王』(13)のパピーの声で知られるキーラン・ハインズ。そして、エリナーと心を通わせる大学教授には、『ヘルプ~心がつなぐストーリー』(11)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、2014年よりスタートした米ABCテレビドラマ「How to Get Away with Murder」では主演を務めるヴィオラ・デイヴィス。コナーの良き友人スチュアート役には『宇宙人ポール』(11)、『メン・イン・ブラック3』(13)などコメディ映画にかかせない存在となっているビル・ヘイダー。コナーに密かに想いを寄せるアレクシスを演じるのは、「毛皮のヴィーナス」でトニー賞主演女優賞を受賞し、『ミッドナイト・イン・パリ』(12)など活躍の場が広がる若手注目女優ニーナ・アリアンダ。夢のようなキャストが集結し、それぞれが素晴らしい演技を披露している。監督はネッド・ベンソン。本作が長編デビューでありながら、カンヌ国際映画祭、トロント国際映画祭に正式出品され高い評価を受けた、ハリウッドが今最も注目する新しい才能である。
撮影の大部分は、ニューヨークのイースト・ヴィレッジを中心に行われた。開発の真っ只中であるこの街の様子には変化していくエリナーとコナーふたりの関係が反映されている。エキストラのほとんどは、実際のニューヨーカー。通りを行き交う人やバイクに乗る人が自然とカメラに映り込んでおり、リアルな街の雰囲気がスクリーンから伝わってくる。ジェシカ・チャステイン演じるエリナーの洗練されたファッションも見どころのひとつ。シーンごとに変化していくエリナーのファッション、メーキャップ、ヘアスタイルからは時の経過とその時のエリナ―の心理状態が感じとれる。音楽を担当したのは、グラミー賞受賞歌手ロードとのコラボレーションが記憶に新しいSon Lux。登場人物のキャラクターやその時の感情を表すため、各シーンの小道具を利用してオリジナル楽器を作り、そこから生み出された独創的でインパクトのあるサウンドが映画を彩っている。