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ずっとささやかながらも満ち足りた生活を送っていた。あの日が来るまでは。突然の出来事の中、もがきながら必死に生きる、ある家族の物語。

園子温が描き出す、激しく力強い筆致と全編にあふれる詩情 未曽有の事態に巻き込まれた家族が見つけ出す絶望の中の光

作品を発表するごとに話題を呼ぶ監督、園子温。近作は連続でベルリン、ヴェネチア、カンヌといった世界的な映画祭に出品され、2011年は『冷たい熱帯魚』『恋の罪』で日本国内の賞を総ナメにし、『ヒミズ』で主演のふたりに第68回ヴェネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞をもたらした。その園監督が実際に被災地で取材を重ね、見聞きした事実をもとに描かれる本作は、フィクションでありながら、未曾有の事態に巻き込まれた人々の“情感”を克明に記録し、“生”や“尊厳”を鮮やかに描写する。
マーラーの交響曲第10番第一楽章「アダージョ」の妙なる調べとともに、静謐で美しい映像がとらえるのは、震災後の新たな日常と懸命に格闘する家族のひたむきなたたずまいだ。激しく力強い筆致と、全編にあふれる詩情。はたして彼らは絶望の中に光を見つけ出せるのだろうか。

『希望の国』を構築した名優たちの熱演

主人公の小野泰彦には、日本映画にその足跡を残してきた名バイプレイヤー・夏八木勲。泰彦の妻・智恵子に、『ツィゴイネルワイゼン』を始め、数多くの名演を披露してきた大谷直子。このふたりの熱演が深い感動を呼ぶ。息子の洋一には日本映画に欠かせない俳優・村上淳が扮し、その妻・いずみを園作品の常連・神楽坂恵が演じる。鈴木家の父と母にでんでんと筒井真理子、その息子と恋人に清水優と梶原ひかり。セリフや出番の少ない役柄ながら、園監督の呼び掛けに応えて、伊勢谷友介、吹越満、占部房子、大鶴義丹、田中哲司らが出演しているのも見逃せない。名優たちの力強い演技に支えられ、『希望の国』は日本映画史に残るマスターピースとなった。

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