イントロダクション

全米絶賛! 観客賞を総ナメにした、実話から生まれた魂を震わす感動作

1970年代のアメリカ・ブルックリンで実際にあった「障がいを持ち、母親に育児放棄された子どもと、家族のように過ごすゲイの話」。本作はモデルになった男性と同じアパートに住んでいたジョージ・アーサー・ブルームによってシナリオ化された。2011年、トラヴィス・ファイン監督はこのシナリオを読み、崩れ落ちて涙を流したという。トラヴィス自身はゲイではない。だが、愛するわが子を奪われる苦しみに普遍性を感じたという。出会うこと、求めること、守ること、愛すること……ゲイもダウン症も関係なく、魂のレベルで求め合う愛はすべての人の心に届く。そして、『チョコレートドーナツ』は全米中の映画祭で上映され感動の渦に巻き込み、各地で観客賞を総ナメにするという快挙を成し遂げた。

僕たちは忘れない。マルコと過ごした愛しい日々。

1979年、カリフォルニア。シンガーを夢見ながらもショーダンサーで日銭を稼ぐルディ。正義を信じながらも、ゲイであることを隠して生きる弁護士のポール。母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年・マルコ。世界の片隅で3人は出会った。そして、ルディとポールは愛し合い、マルコとともに幸せな家庭を築き始める。ポールがルディのために購入した録音機でデモテープを作り、ナイトクラブへ送るルディ。学校の手続きをし、初めて友達とともに学ぶマルコ。夢は叶うかに見えた。しかし、幸福な時間は長くは続かなかった。ゲイであるがゆえに法と好奇の目にさらされ、ルディとポールはマルコと引き離されてしまう……。血はつながらなくても、法が許さなくても、奇跡的に出会い深い愛情で結ばれる3人。見返りを求めず、ただ愛する人を守るために奮闘する彼らの姿に我々は本物の愛を目撃する。

トニー賞受賞俳優、アラン・カミングによる圧倒的な演技と歌唱シーン!映画を彩る1970年代を代表する音楽たち

舞台「キャバレー」での演技によりトニー賞を受賞し、日本でも放映されているテレビドラマ「グッド・ワイフ」で人気を不動のものにしたアラン・カミングがルディ役を大熱演。本作の演技により、いくつもの主演男優賞を受賞、彼が歌うボブ・ディランの名曲「I Shall Be Released」は観る者を圧倒する。ポール役には『LOOPER/ルーパー』のギャレット・ディラハント。初共演とは思えぬ息のあった演技を見せている。マルコを演じたのはアイザック・レイヴァ。実際にダウン症の彼は職業俳優になる夢を持ち、本作で見いだされた。
また、全米ディスコチャート1位を記録したフランス・ジョリの「Come To Me」のほかBGMとして流れるT.REXなど1970年代という時代を映し出す楽曲が映画に彩りを添える。2012年度のアカデミー賞®オリジナル楽曲賞候補にもなったルーファス・ウェインライトによる書き下ろし曲「Metaphorical Blanket」が切ないエンディングを飾る。