監督

シュバシシュ・ブティアニ|監督・脚本

1991年7月20日、インド・コルカタ生まれ。インドの小さなヒマラヤの街で育ち、ウッドストック・スクールに通い演技を学ぶ。やがて、演技より脚本や演出に興味を持ちはじめ、2013年からニューヨークのスクール・オブ・ビジュアルアーツで映画製作を学ぶ。1984年の反シーク暴動を題材にした、実話を元にした短編“ Kush”(13) は2013年ヴェネチア国際映画祭でプレミア上映され、オリゾンティ部門で最優秀短編映画賞を受賞。さらに、2014年アカデミー賞®短編映画部門にも選出され、世界中で25以上の賞を受賞している。 『ガンジスに還る』では、監督自らバラナシに行き「解脱の家」のような施設をいくつかまわり、そこに滞在する人やマネージャーに会い話を聞いてリサーチを重ねた。そこで、バラナシで死を迎えたい人の願いとは、息子や娘など家族と一緒に来ることだと気が付き、この父と息子の物語の骨格が出来上がっていった。

監督のことば

バラナシにあるこれらの宿のことを知った時、それを信じるために 自分の目で確かめに行かなければと思いました。私は、人びとが自ら死を迎えにいくこの場所に何があるのか知らなかったのです。
驚くことに 、これらの宿は全て目立つことなく、町の一部のようでした。小道に隠れるように、そして時にそれぞれが独自のルールや、世界そのものであるように運営されていました。

しかし本当の驚きはそこではなく、滞在者との会話やそこで暮らす人々の話の中にありました。最期を迎える父をここに連れてきた息子さんの話を聞き、「解脱の家」を舞台としてだけでなく、そこにいる人たちの関係性を描く場所として考えました。
滞在者の誰かについての話にも出来たかもしれませんが、『ガンジスに還る』は、人生における経過のひとつとしてや、祝い事としての“死”を目にするこの町が、ある家族に与える影響について描いた映画なのです。父ダヤの行動によって始まる、解脱という思想や、それが3世代の親子に何を意味するのかを描いています。