【松ヶ根乱射事件】ホームへ

「これから始まるのは、1990年代も半ばにさしかかろうとする頃のお話」

picこんな字幕から『松ヶ根乱射事件』は幕を開ける。90年代初頭は、まさにバブル経済が崩壊した直後。戦後最大ともいわれた不況はより深刻化し、リストラと雇用不安が強まった時期だった。列島は冷夏や豪雨などの異常気象に襲われ、米の大凶作にも見回られた。しかし、松ヶ根の町に、そんな陰気は漂っていない。
「バブルが崩壊したといわれていたけど、松ヶ根の人たちにとっては、それは東京の、テレビの中の話だったのかもしれないと思ったんです」
そう話すのは、脚本家の向井康介だ。本編では、西岡や豊道がテレビを見ている場面がいくつかあり、彼の言う“置いてけぼり感”は、そこからも醸し出されている。また、本編ではTHE虎舞竜の「ロード」やclassの「夏の日の1993」など当時のヒット曲も使用されているが、これは山下と向井が脚本を書いている時、かなり最初の段階からあった構想だという。ファッションでは、光の着ているアーミー風のダウンジャケットや、みゆきのソバージュ&ボディコンや春子のワンレン・ヘアも懐かしい。

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