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ジョージー・ルーク

監督:ジョージー・ルーク
Director JOSIE ROURKE

1976年9月3日イギリス、サルフォード生まれ。ケンブリッジ大学を卒業後、ドンマー・ウエアハウスをはじめ様々なプロジェクトで経験を重ねる。2008年よりブッシュ・シアターの芸術監督を務め、12年にサム・メンデス、マイケル・グランデージの跡を継ぎ、ドンマー・ウエアハウスの芸術監督に就任。ロンドンの主要劇場で初の女性芸術監督となる。演出家として、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーやシカゴ・シェイクスピア・カンパニー、ウエスト・エンド、ブロードウェイなど幅広く活躍し、ミュージカル「City of Angels」(14)でオリヴィエ賞を受賞。トム・ヒドルトン主演「コリオレイナス」(14)、「危険な関係」(16)、「聖女ジョーン」(17)は、ロイヤル・ナショナル・シアターによる上映企画「ナショナル・シアター・ライヴ」にて映画館上映もされた。ジュディ・デンチを主演に迎え、15年総選挙の投票所での最後の90分間を描いた「The Vote」(15)はテレビ中継され、英国アカデミー賞テレビ部門最優秀ライブイベント賞にノミネートされた。本作『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』で長編映画監督デビューを果たした。

監督インタビュー

『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』の製作にあたって
私にとって、メアリー・スチュアートは演劇作品の経験から馴染みのある題材でした。これは、お互いの心理的な執着についての映画です。メアリーは映画全編にわたってエリザベスの中にいます。エリザベスの意識に住み着き、エリザベスの人生すべての選択に影響を与えています。メアリーとエリザベス、ふたりだけが、実は完全に理解し合える関係にあるのです。彼女たちは正反対の道を辿りますが、ふたりの女性はコインの裏表です。バットマンにはジョーカーがいて、シャーロック・ホームズにモリアーティがいるのと同様に、メアリーとエリザベスにも、切っても切れない強固な関係性があるのです。
これは、ある意味で今の時代の話でもあります。男性優位の時代に女性が力を持つこと、その中で人の上に立つ女王として重圧の中で多くを犠牲にしたふたりの女性についての物語なのです。歴史上の人物を通して、感情的、歴史的、政治的に、女性の生き方についての真実をうまく伝えることで、今の女性の生き方に影響を与えられるのではないかと思いました。

脚本について
ボー・ウィリモンは政治に強く、この映画の中心的テーマである権力の代償について理解しています。彼が企画したTVドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」(13-)に人々が熱狂したもの、それがまるでルネッサンスのリベンジ劇に感じられたからでしょう。どの時代にも陰謀を企む人々がたくさんいる。この映画は現代政治が発明された私たちの歴史の一部とも言えます。

様々な人種の俳優を起用したのは
俳優たちのオーディションをしているときに、多くの俳優が時代劇で役を演じる機会を持てずにいると聞き驚きました。イギリス俳優の中でも才能を持った、最も素晴らしい俳優たちが、シェイクスピア劇などは数え切れないほどの舞台を経験しているのに、映画の経験はないと言うのです。それでキャスティングしました。彼らにとっても、私にとっても、予期せぬ人生の夢の実現であり、純粋に素晴らしい才能をただ受け入れていくことでした。

ふたりの女優、シアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビー
私が企画に加わる前から、シアーシャ・ローナンがメアリー役に決まっていたことはとても重要でした。シアーシャは圧倒的に素晴らしく、メアリーの力強さ、残虐さ、苦難、犠牲といった幅広い演技のすべてを表現できる才能を持っています。エリザベス役にはマーゴット・ロビーがすぐに浮かびました。そこで彼女に手紙を書いて、出演を依頼したのです。私はこのふたりの女性に映画を引っ張ってもらい、物語を展開させてほしいと思いました。
初監督の私にとって、シーン毎に何を表現したいのかを理解し合い、実際にどう実現するかを女優たちと共有できたことは素晴らしい経験でした。ふたりの成熟さと寛大さにはとても感銘を受けました。

脚本:ボー・ウィリモン
Written by BEAU WILLIMON

1977年10月26日アメリカ、ヴァージニア州アレクサンドリア生まれ。ジュリアード学院在学中、2004年ハワード・ディーンの大統領キャンペーンでの報道補佐官経験を元にした戯曲「Farragut North」を執筆。08年にオフブロードウェイで初演され、翌年にはクリス・パイン主演でロサンゼルスでも上演された。同作の映画化『スーパー・チューズデー~正義を売った日~』(12/ジョージ・クルーニー監督)で脚本を担当し、アカデミー賞®にノミネートされる。12年、BBCのドラマ「野望の階段」(90)のリメイク「ハウス・オブ・カード 野望の階段」(13-)を企画。脚本、製作総指揮として脚光を浴び、エミー賞、ゴールデングローブ賞と数々の賞に輝いた。最新作は、企画・脚本・製作を担当したショーン・ペン主演、人類初の有人火星探索を想定した近未来が舞台のドラマ「The First」(18)。


衣裳:アレクサンドラ・バーン
Costume Designer ALEXANDRA BYRNE

1962年生まれ。ブリストル大学で建築を学んだ後、イングリッシュ・ナショナル・オペラのモントレー・コースでマーガレット・ハリスから舞台美術を学ぶ。TV、舞台の世界で、セットおよびコスチューム・デザイナーとして幅広く活躍。舞台「Some Americans Aboard」(90)でトニー賞最優秀セットデザイン賞を受賞。舞台に続き、映画版のケネス・ブラナー監督『ハムレット』(98)の衣裳を担当し、初めてアカデミー賞®にノミネートされる。その後も、『エリザベス』(99/シェカール・カプール監督)、『ネバーランド』(05/マーク・フォースター監督)と、〉2度アカデミー賞®にノミネートされ、『エリザベス:ゴールデン・エイジ』(08/シェカール監督)でついに第80回アカデミー賞®衣装デザイン賞を受賞。『マイティ・ソー』(11/ケネス・ブラナー監督)、『アベンジャーズ』(12/ジョス・ウェドン監督)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14/ジェームズ・ガン監督)、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(15/ジョス・ウェドン監督)、『ドクター・ストレンジ』(17/スコット・デリクソン監督)とマーベル作品にも参加。その他の代表作は、『オペラ座の怪人』(05/ジョエル・シュマッカー監督)、『300〈スリーハンドレッド〉~帝国の進撃~』(14/ノーム・ムーロ監督)、『オリエント急行殺人事件』(17/ケネス・ブラナー監督)など。
本作で第91回アカデミー賞®衣装デザイン賞にノミネート。


ヘア&メイク:ジェニー・シャーコア
Hair & Makeup Designer JENNY SHIRCORE

『エリザベス』(99/シェカール・カプール監督)でアカデミー賞®と英国アカデミー賞最優秀ヘア&メイクアップ賞を受賞。『ヴィクトリア女王 世紀の愛』(09/ジャン=マルク・ヴァレ監督)でアカデミー賞®にノミネートされ、英国アカデミー賞を受賞している。『真珠の耳飾りの少女』(04/ピーター・ウェーバー監督)、『エリザベス:ゴールデン・エイジ』(08/シェカール・カプール監督)、『マリリン7日間の恋』(12/サイモン・カーティス監督)で英国アカデミー賞にノミネートされた。その他の代表作に、『オペラ座の怪人』(05/ジョエル・シュマッカー監督)、『ヘンダーソン夫人の贈り物』(06/スティーヴン・フリアーズ監督)、『アメイジング・グレイス』(11/マイケル・アプテッド監督)、『ウォリスとエドワード英国王冠をかけた恋』(12/マドンナ監督)、『フランス組曲』(16/ソウル・ディブ監督)、『マクベス』(16/ジャスティン・カーゼル監督)、『美女と野獣』(17/ビル・コンドン監督)、『くるみ割り人形と秘密の王国』(18/ラッセ・ハルストレム監督)など。エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ主演“The Aeronauts(原題)”(19/トム・ハーパー監督)が待機中。
本作で第91回アカデミー賞®メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネート。

原作:ジョン・ガイ
Based on the book by JOHN GUY

「Queen of Scots:THE TRUE LIFE OF MARY STUART」
(スコットランド女王:メアリー・スチュアートの真実の生涯)

受賞歴のある歴史学者で、著作には、「トマス・モア」、「Elizabeth: The Forgotten Years(エリザベス:忘れられた日々)」、「Henry VIII: The Quest for Fame(ヘンリー8世:名声を求めて)」、「The Children of Henry VIII(ヘンリー8世の子供たち)」などがある。BBC2やチャンネル4の数多くのドキュメンタリー番組で司会を務め、BBCラジオの教育番組にも出演している。サンデー・タイムズ、リテラリー・レヴューなどに寄稿し、ケンブリッジ大学クレア・カレッジの特別研究員である。
「Queen of Scots:THE TRUE LIFE OF MARY STUART」はスコットランド女王メアリー・スチュアートの一生についての新たな解釈の物語。ウィリアム・セシルによって改ざんされた記録によって名誉を貶められていたメアリー・スチュアートについて、細かな資料に目を通し真実の物語を見つけ出した。


音楽:マックス・リヒター
Music MAX RICHTER

1966年1月21日ドイツ、ハーメルン生まれ。エディンバラ大学と英国王立音楽院でピアノと作曲を学んだ後、フィレンツェでルチアーノ・ベリオに作曲を師事。90年代後半から作曲家/編曲家として活動を開始し、2002年にフル・オーケストラを起用したアルバム「Memoryhouse」でソロ・デビュー。その後、ティルダ・スウィントンをナレーターに迎えた「ブルー・ノートブック」(04)や、村上春樹のテキストを用いた「ソング・フロム・ビフォー」(06)、携帯電話の着信音を変奏曲形式で作曲した「24 Postcards in Full Colour」(08)、シューベルト「冬の旅」にインスパイアされたバレエ音楽「インフラ」(10)と、次々に斬新なアプローチに挑み、注目を集める。12年、ヴィヴァルディ「四季」全曲を再作曲した「25%のヴィヴァルディ」で、英米独のiTunesクラシック・チャートで第1位を獲得。演奏時間8時間にも及ぶ「スリープ」とその抜粋版「フロム・スリープ」は、バッハ「ゴルトベルク変奏曲」にインスパイアされ、“睡眠するための音楽”という大胆な作曲コンセプトを展開し話題になった。
TVドラマでは、「LEFTOVERS/残された世界」(14-17)、「ブラック・ミラー」(16)、リドリー・スコット製作総指揮、トム・ハーディ企画・主演でエミー賞にノミネートにされたドラマ「TABOO タブー」(17-18)など活躍。手掛けた映画音楽として、ヨーロッパ映画賞で作曲賞を受賞した『戦場でワルツを』(09/アリ・フォルマン監督)、『めぐり逢わせのお弁当』(13/リテーシュ・バトラ監督)、『コングレス未来学会議』(13/アリ・フォルマン監督)、『女神の見えざる手』(17/ジョン・マッデン監督)などの代表作がある。
『シャッター・アイランド』(10/マーティン・スコセッシ監督)、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(18/ジョー・ライト監督)など多くの映画でリヒターの曲が使用されている。中でも『メッセージ』(16/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督)に使用された“On the Nature of Daylight”(「ブルー・ノートブック」収録)は、公開時、日本でもiTunesクラシックチャート1位を獲得した。
最新作に、本年度ゴールデングローブ賞とアカデミー賞®外国語映画賞にノミネートされた“Never Look Away(原題)”(18/フローリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督)など。
今年2月20日に「ふたりの女王 メアリーとエリザベス オリジナル・サウンドトラック」「ブルー・ノートブック」「ソング・フロム・ビフォー」の国内版を3枚同時リリース予定。
3月にはすみだ平和記念音楽祭出演のため、15年ぶり、2度目の来日を果たす。