Bitters End
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『恋人たちの失われた革命』
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イントロダクション<恋人たちの失われた革命
BITTERS END

世界を変えられると思っていた。
この愛は永遠に続くと信じていた。

1968年5月、パリ。二十歳の詩人フランソワは兵役を拒絶し街へ出てゆく。そこには、機動隊と激しい闘争を繰り広げる、彼と同じく失うものはない若者たちが大勢いた。ある日、フランソワは彫刻家を目指す美しい女性リリーと出会う。二人は一瞬にして恋に落ちる。
1969年。若者たちはパーティー、アヘン、セックス、享楽に溺れ、夢や理想、そして‘革命’でさえも、語るだけの日々を過ごすようになっていた。混沌とした時代の中で、皆が連鎖反応的に不安や憤りに囚われ、それぞれに新しい‘何か’を渇望していた。また、この愛が永遠に続くと互いに信じていたフランソワとリリーも、新しい居場所を求め始めて・・・。



時を越えて二つの人生が交錯する

「この映画を息子ルイと共に作ろうと思った。この物語は私がルイの年頃に経験したことに基づいてる」と、フィリップ・ガレル監督は最新作『恋人たちの失われた革命』について語っている。1968年、パリの五月革命を舞台に、父フィリップの‘二十歳の情熱と絶望’を、むせ返るほどの魅力溢れる二十歳の息子ルイが繊細かつ真摯に好演し、激動の時代をまるごと描きった壮大な抒情詩が完成した。フィリップ・ガレルは「一組のカップルが誕生するということは歴史が出会うことだ」と一貫して自伝的要素を色濃く反映させながらも、男と女、愛の誕生と喪失をストイックに表現し続けてきた。そして、本作は「夜の革命家たちと、いつもの恋人たちとを結びつける、野心的な試み」(カイエ・ド・シネマ)と絶賛され、彼が追求し続ける‘愛の物語’と‘情熱の革命の物語’とが見事に融合し、詩的で美しい至上のラブストーリーがここに誕生した。


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親密なコンビネーションの結実

主演はベルナルド・ベルトルッチ『ドリーマーズ』で鮮烈な印象を残し、今後もフランソワ・オゾン作品などが待機している新鋭ルイ・ガレル。白いシャツに真っ黒な巻き髪、彫刻のように端正な横顔。本作のモノクローム映像はルイの神々しいまでの美しさをより際立たせ、圧倒的な存在感で2006年セザール賞最優秀新人賞を受賞。他のキャストに父親モーリス、ルイの母ブリジット・シィを起用し、ヒロインには学生時代にガレル監督から演技指導を受けた新人のクロティルド・エスムが大抜擢された。撮影はゴダールやイオセリアーニなど巨匠たちの作品を数多く手掛ける名カメラマン、ウィリアム・ルプシャンスキー。前作『白と黒の恋人たち』に引き続き音楽を担当したジャン=クロード・ヴァニエ。フィリップ・ガレル監督のアイデンティティをかたど象(かたど)る親密なスタッフたちが集結した。