ストーリー

─ 秋 ─

東京の大学を卒業したものの、就職せず、父の善次(康すおん)がひとりで暮らす甲府の実家へ戻ってきたタマ子(前田敦子)。しかし、善次が営むスポーツ用品店・甲府スポーツをろくに手伝うこともなく、開店時間になってもぐうぐう眠り続けている。ようやく起き出して、残り物のロールキャベツをがっつくタマ子。プリンを食べてマンガを読んで、ハッと目を覚ませばもう夕飯の時間。テレビを見ながら「ダメだな、日本は」と吐き捨てるタマ子に、善次は「食って寝てマンガ読んで。ダメなのは日本じゃなくてお前だ!」と手厳しい。タマ子は勢いで「その時が来たら動く!」と言い返す。「いつなんだよ?」「少なくとも……今ではない!」

─ 冬 ─

大みそかを迎え、新年の準備に忙しい甲府スポーツ。タマ子も今日ばかりは、買い物をしたりカレンダーを張り替えたりと、珍しく家事を手伝っている。夜、こたつに当たっているタマ子のもとへ、善次の義姉・よし子(中村久美)がおせちを届けに来てくれた。タマ子の姉も夫と一緒に間もなく実家へやって来るはずだ。ケータイを操作しながら年越しそばを食べるタマ子に「食べるかケータイかどっちかにしろ」と善次。タマ子は「母さんから連絡ないね」と言って、今でも連絡を取り合う離婚した母の近況を善次に話す。そこへ結婚して家を出た姉が帰ってきた。大晦日の夜が更けてゆく……。

─ 春 ─

美容院で髪を切ったタマ子。どうやらどこかに履歴書を送るつもりのようだ。面接用の洋服をねだられた善次は、感慨深げにいいよと答える。ようやくその時が来たかなと善次。買ったばかりの洋服を着て、タマ子は中学生の仁(伊東清矢)に履歴書用の写真を撮ってもらう。「これ、絶対誰にも言っちゃダメだからね!」そそくさと写真館を後にするタマ子。タマ子の履歴書の提出先はどこなのだろうか。

─ 夏 ─

クーラーが効いてキンキンに冷えた居間で、タオルケットに包まれてマンガを読むタマ子。高校野球中継を見て、「このクソ暑いのによく野球なんかやるよね」と毒づくタマ子に、善次はいろんな人間がいるんだよと説く。いいことでもあったのか、善次はちょっとうれしそうだ。次の日の夜、善次の兄・啓介(鈴木慶一)の家で、タマ子は善次がアクセサリー教室の先生をよし子に紹介されたことを知る。勇気を出して様子を見にいったアクセサリー教室で、タマ子は先生の曜子(富田靖子)と初めて顔を合わせる。父の再婚話に心揺れるタマ子。その思いは果たして――。