はじめに

富司純子 × シム・ウンギョン W主演!!
豪華俳優陣が紡ぎだす、命の美しさと儚さ

海を望む高台の一軒家。そこには四季折々の花が咲く美しい庭がある――。
庭に咲く色とりどりの草木を愛でながら、長年住み続ける家を守る絹子を演じるのは、紫綬褒章受章の日本映画界を代表する女優 富司純子。また絹子の娘の忘れ形見である孫娘の渚には、本年度日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞(『新聞記者』)のシム・ウンギョン。さらに絹子のもう一人の娘・陶子を鈴木京香が演じ、3世代の女性の姿をそれぞれ情感たっぷりに演じている。またチャン・チェン、田辺誠一、清水綋治ら男優陣が陰影の深い演技で、味わいを添える。本作でしか成しえない煌びやかな顔ぶれが集結した。

構想15年。写真界の巨匠 上田義彦 映画初監督作

サントリー、資生堂、TOYOTAなど数多くの広告写真を手掛け、その卓越した美学で人々を魅了し国内外で高い評価を得ている写真家 上田義彦が、構想から15年の歳月をかけた渾身の一作『椿の庭』で映画監督デビューを果たす。監督自身が時代の移り変わりの節々で感じ取った感情や幼いころの記憶を、思い出しては書き留め続け、その言葉を土台に自身で脚本を練り上げ、さらに映画本編の撮影も行った。

色あせることのない家族の絆の物語

かつて夫と語り合い、子供たちを育てた家に、今は孫娘の渚と住む絹子。夫の周忌を終えたばかりの春の朝、世話していた金魚が死に、椿の花でその体を包み込み土に還した。命あるものはやがて朽ちる時がくる。家や庭の些細な変化や、過去の記憶に想いを馳せる日々の中、ある日絹子へ一本の電話がかかってくる――。