STORY

舞台はイラク、シリア、
レバノン、クルディスタン。

哀悼歌
かつて牢獄として使われたであろう小部屋の中、女性たちが亡き家族の痕跡を探し、嘆き悲しむ。息子を失った母親が哀悼歌を歌い上げる。
釣り人
油田の炎が夜空を染める中、遠くに銃声が響く。バイクを川辺に止め、小舟に乗り込み川を下り、男は釣りの仕掛けを投げ入れる。銃声と隣り合わせに毎日の糧を得る方法。
恋人たち
活気あふれる夜景を見下ろし、シーシャ(水たばこ)を嗜むカップル。部屋で正装に着替え、太鼓を片手に詠いながら、男性は夜の街をねり歩く。
ペシュメルガ
自分たちの国を持たないクルド人たちの自治区の治安部隊ペシュメルガ。ISISの襲撃を見張りつつ、クルドの独立を目指す。一時も休まらずに、銃を構え続ける兵士たち。
精神病棟での演劇
精神科病楝。患者たちが芝居の練習をしている。祖国で起こった悲劇を描いたシナリオ。「我々は祖国を売らない」
少年
夜明け前から家族のために、海で魚を捕らえ、草原で猟をする少年。時には猟師のガイドをして日銭も稼ぐ。幼い兄弟たちが起きてきたころ、また少年は眠りにつく。自分の時間などない生活。
難民キャンプ
アメリカ国旗がたなびく難民キャンプでは子供たちの声が飛び交う。また今日も、新たな家族がやってくる。
子供たちの記憶
まだ幼いヤジディ教の子供たちが描いた絵。「夜眠れなくなるの」ISISに襲われた記憶を語る。「もう大丈夫、ここは安全よ」と語りかけるカウンセラー。
囚人たち
オレンジ色の囚人服を着た大勢の男たち。高い壁に囲まれた刑務所の広場の中で、思い思いに歩き、身体を伸ばす。そんな時間もつかの間、また、暗い部屋で折り重なるように身をひそめる。
娘のメッセージ
ISISに連れ去られた娘が残した音声メッセージ。「すごく怖い」「これが最後かもしれない」スマートフォンの中に残された音声を、涙をぬぐいながら何度も聞き続ける母親。

廃墟となった街々、訓練をする兵士たち、油田の炎と銃声。
それぞれの国境地帯で、それでも生きていく人々の生活が映し出される。

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